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第526話 槍と鉄槌

鋭き槍術の使い手王賁と馬南慈の一騎討ち。王賁は連続の突きを馬南慈に浴びせる。番陽は王賁の槍に速さと正確さに加え、紫伯のような破壊力まで付いてきた姿を見て、間違いなく中華五指に入ると確信する。
馬南慈は王賁の槍に圧されるが、何とか矛で受けきっていた。しかし、矛を振ろうにも間合いに入る前に凄まじい連打が飛んでくるため、防戦一方になっていた。さらに、部下より刻がなく、一旦離脱しましょうと進言を受ける。
馬南慈はそれを否定し、この男に鉄槌を喰らわしてはおらぬと矛を王賁に投げつける。王賁はそれを槍で払いのけるが、馬南慈は王賁に飛びかかり、右手を掴むとそのまま馬から引きずり下ろし、渾身の拳を王賁の頭めがけて振り下ろす。間一髪のところで王賁はその拳をかわす。
そして、馬南慈は部下から矛を投げ渡される。それを掴むと同時に背後からきた亜光と刃を激しくぶつからせる。力の勝負に馬南慈は亜光の方が相性がいいと感じる。
そして、馬南慈は猛者二人同時に鉄槌を落とすには連れてきた兵力が少々不足していたとその場を去ろうとする。亜光は逃げ切れると思うかと言うと馬南慈は逆にこんな初日で馬南慈の首が取れるとでもと聞き返す。
そこに後ろから趙軍が現れる。亜光が左側に来たため、兵力が固まり、趙軍の第一陣が復活してしまったのであった。押し込まれていた岳嬰が息を吹き返すには十分の隙であった。趙峩龍はそれを見て、馬南慈は戦をよくわかっていると感じていた。趙峩龍の部下はさらに我々が出陣すれば形勢は一気に趙側に傾くのではと尋ねるが、趙峩龍は出陣は敵がもっと弱ってからだ、十分弱ってから食しに行くと返す。

その頃秦軍中央本陣では信が王翦に呼び出されていた。王翦は信に隊内で脚の速い八百機を選りすぐり、今すぐ出陣せよと命令を下す。信がどちらの戦場へと尋ねると王翦は左だ、左の戦場に割って入り、お前が紀彗の首を取って来いと指示する。




まずは合併号のため、来週はヤンジャンの発売自体ありません。
おー遂に飛信隊出陣ですね!!しかも紀彗の首を取れという指示でなかなか痺れますね。秦軍はちょっと左に戦力が寄りすぎな気がしますが、それも作戦の内でしょう。信と羌瘣でぜひ紀彗を討ち取って将軍昇格を確実にしてほしいと思います。

第525話 馬南慈の気概

秦右翼の窮地に突き刺した玉鳳隊の奇襲の槍。指令違反の行為であったが、亜光は百騎を連れ、玉鳳隊と挟み込み、馬南慈を討つべく、向かう。
王賁は馬南慈隊の後方を分断し、前方を孤立化させる。そして、後方を関常に任せ、そのまま馬南慈を討ちに進む。関常は今回の命令違反は独立遊軍の働きとしては悪くなく、この突撃で亜光軍第一陣の危機は救われ、逆に入ってきた敵将を窮地に陥れ、もし、このまま敵将まで討ち取るなら、右の戦場は序盤にして大いに秦側が優勢となると評価していた。

王賁は馬南慈を討ちに向かうが、部下から前を固められる。それはその部下が嫌な予感を感じ取ったからである。
そこにいきなり馬南慈が現れ、王賁の前を固めた兵たちを一振りで身体を分断する。
馬南慈は趙左翼三将が一人馬南慈であると名乗る。番陽はその姿を見て、蒙武並みの巨躯だと感じ取った。しかし、王賁は知らぬ名だと吐き捨て、さらにこの王賁が一撃で馬南慈の眉間に風穴をあけてやる故、覚えるまでもないと続ける。
馬南慈は趙国内の話だが、名を馳せた武将が次々と雁門に派遣されては一月残らず死んでいったため、修羅場での飾られた名など何の意味もないと返す。
番陽は噂では雁門は匈奴との戦いで中華の争乱以上に死地になっていると聞いていた。
馬南慈はこれまで北部全域を踏みにじらんとする匈奴以上に憎らしい奴らは他におらぬと思っていたが、去年李牧と共に咸陽に出向き、王に会ってから、考えが変わった、北部どころか六国全てを踏みにじらんと軍を興す秦王こそ人の皮をかぶった獣中の獣よ、匈奴に劣る愚か者共にこの馬南慈の鉄槌をとまで言うと王賁は馬南慈の眉間を目掛けて槍を突く。馬南慈はそれを弾き返す。
王賁は他国の王を嘲る前に少しは史を学べ、この五百年で百あった諸国が七つに淘汰された、一大国という流れはこの中華史が求める答えという見方もできる、しかし、趙将の言い分も百も承知であり、互いの思いの折り合いがつかぬから力で是非を決するこの戦場がある、来い馬南慈、秦王の刃として、貴様をここに沈めてやると豪語する。





まず始めに来週は休載です。
王賁対馬南慈という図式になりましたね。王賁の秦王の刃としてという言葉は素直に嬉しいと思います。政の想いが前線の武将にまで浸透しており、その目標のために一緒に突き進んでいるというところが、イイですね。
今後の展開としては馬南慈と王賁は僅かの差で馬南慈が上回っており、それを亜光率いる百騎が助け出すのではないかと…
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第524話 覚悟の比重

王翦軍第一武将亜光による突撃。亜光軍と岳嬰軍は激しくぶつかり合う。両軍共に弾け飛ぶが、亜光軍の後続は自軍の兵も関係なく、踏みつけて全速力で突進していく。その非常な程の躊躇さの無さが相手側と大きな力の差を生み、亜光軍が圧倒的に押し込み始める。関常は王賁に対し、玉鳳隊の騎兵も全秦軍の中でも指折りの実力ではあるが、あそこまで勝負に徹する冷酷さはなく、亜光は王賁が考えるより何倍も強いと語る。

馬南慈は趙峩龍に対して、なぜ第一陣を岳嬰に譲ったのかと尋ねると岳嬰軍は強く、その軍がぶつかれば敵の力量が図れるからであり、早くも敵が二万とみて侮ってはならぬ相手だと分かったと話す。馬南慈は同感だとし、第二陣として、出陣する。趙峩龍は少々早いのではと聞くと馬南慈は秦軍は趙を滅ぼす気で来ており、道を踏み外す程に思い上がった愚か者に怒りの鉄槌を食らわしたいからだと返す。

参戦してきた馬南慈は軍を主攻三千と助攻七千に分け、助攻七千を援軍に来るであろう亜光軍第二陣にぶつけ、壁を作り、主攻三千で亜光軍第一陣の脇腹に強烈な横撃を加えた。それを見た趙峩龍は馬南慈はただの武偏重の猛将ではなく、戦術眼も鋭いため李牧が副官に据えるだけのことはあると認識する。さらに持ち合わせる武が介子坊や廉頗に近しいとするなら李牧軍対王翦軍の戦いそのものの勝敗のカギを握る男かも知れぬと感じていた。

亜光軍第二陣が苦戦している中、乱戦の亜光軍第一陣と第二陣の空間を疾走する騎馬隊があった。それは王賁であり、中間を討って馬南慈を孤立させる狙いであった。
関常は命令無視の王賁に対して、あとで亜光から説教ですなというと王賁はうるさいとだけ返した。




王賁が早くも戦場に飛び出しましたね
人の言うことを聞くようなタイプではないですが、これが吉と出るか凶とでるか。
また馬南慈は李牧副官に相応しい実力を持っていそうですね。さすが李牧、人材登用も優れているのでしょう。

第523話 秦軍右翼の刻

王翦は蒙恬の隠れた真価を鋭く捉え、見事に左の役目を果たした暁には我が側近として幕僚に加えてやってもいいぞと勧誘する。しかし、蒙恬は笑えない、おれを入れるくらいなら、その前に入れるべき男がいるのでないかと拒否する。

趙軍左翼は三万の兵力を備えていた。馬南慈、岳嬰、趙峩龍がおり、馬南慈がこの中で誰が一番槍を務めるかと言うと岳嬰はおれが行くと前に進もうとする。
馬南慈が勝手だぞと止めると岳嬰はお前たちのことはほとんど知らぬ故、そんな奴らにこの戦場の第一刃を任せられないと睨み付ける。
趙峩龍は李牧の副官という肩書きで只者でないことは十分察しがつくと思うがというと岳嬰はお前こそ誰だと問う。それには馬南慈が答える。趙峩龍は元趙三大天藺相如の側近であり、中央にいる尭雲と二人して、長年王都圏の秩序を守ってきた影の英雄だと説明する。さらにわかりやすく言えば同時期の元趙三大天廉頗の側近、介子坊、輪虎の類の男だと付け加える。

秦軍右翼は亜光軍二万が横陣を敷き、その後ろに玉鳳隊がいたが、まだ指示が来ていないことに混乱が走っていた。そこに亜光が王賁の目の前に現れる。亜光は王賁に作戦を伝えに参りました若君と口を開く。
開戦の激突は亜光が請け負う故、玉鳳隊は横陣には入らず、乱戦の場から離れ、本来の持ち味を出す遊撃隊になり、好機が来たら伝者を送る故、それまで待機をと指示すると王賁は誰が練った策だと問う。亜光は王翦と自分で練った策だと答える。王賁は愚策だと切り捨て、玉鳳隊は一万の敵とも対等に戦う力を有しており、兵力で劣る秦軍は玉鳳こそ中に入れ、力の拮抗を図って然るべきだ、玉鳳隊を横陣の左端に組み込め、左から戦局を動かすと言うと亜光はそれでは初日から玉鳳隊の血が流れ過ぎると否定する。それを聞いた王賁は怒り、妙な特別扱いをするな、この状況で玉鳳隊を外に外す真っ当な理由はないと怒鳴ると亜光は自惚れなさるな、誰も貴方を特別扱いなどしていない、これは良くも悪くも双方の意見ですと諭す。
それを聞いた関常はさすが亜光はわかっていると感じる。王翦が策に関わったとするなら王賁を本戦に加えられなかったのは傷つけぬための親心ではなく、期待されていないという判断であると認識する。
そこに敵の第一陣が動いて来ており、亜光にすぐ戻るよう依頼が入る。亜光は最後にこの開戦の時に亜光自ら伝えに来た重みを汲み取っていただきたい、玉鳳隊の力が必要な時、その力が半減していては戦術がそこで終わってしまう、どうかその時が来るまで冷静に、案じられずとも右の戦場は亜光軍、玉鳳隊が共に死力を尽くさねば勝ちは見えてこないと諭す。

趙左翼第一陣は岳嬰軍でその数はおよそ一万であった。亜光はそれを見て、自ら一万を率いて出陣する。
関常は王賁に亜光は小細工を好まぬ武人であり、正面から堂々と思いっきり敵にぶつかりに行く、兵士も亜光の分身みたいな奴らばかりなので、何の恐れも抱かず突き進むと語る。

そして岳嬰軍と亜光軍がぶつかる。関常は王賁に父君に認めてほしいなら、王翦が最大の信頼を置く、第一武将亜光の戦いをよく見ておくといいと語る。





遂に右翼の戦いが始まりしたね。王翦は家族であろうと勝つための一つの駒としか考えないのでしょうね。ドライとは思いますが、理解はできますね。
でも王翦なら王賁をこういう扱いをすると逆にプライドが傷ついた分、粉骨砕身で戦うということを予測してるということを期待しています。。。

第522話 左翼の絶望

王翦に左翼本軍が攻撃を始めた模様という報告が部下から入る。
趙右翼紀彗軍本陣では秦軍の第二波五千の騎馬隊の攻撃を受ける。さらに奥にいた秦軍は一つの軍を二つの波に分け、攻撃を仕掛けようといていた。それは波状攻撃であった。
麻鉱軍第二波により紀彗軍の隊形は大きく崩れ、大きな被害が出ており、一方的な展開になっていた。麻鉱はこの一方的な展開は陽動の功であり、蒙恬の活躍ぶりを称賛した。

麻鉱は出陣する前に王翦と蒙恬と作戦の打合せをしていた。そこで蒙恬は左翼本軍到着までの囮の役目しかと承りましたと答える。麻鉱は重大な役目だぞと釘を刺す。さらに全王翦軍の中で最強の攻撃力を持つ麻鉱軍の力をどう趙右翼軍にぶつけるかは蒙恬にかかっているものの、蒙恬が失敗しても左が負けることはないのだがなと嘲笑う。蒙恬は麻鉱の言葉に反論せず、麻鉱の目をずっと見ていた。麻鉱は王翦に生まれの良さを鼻にかけた目つきをするこの若造に何か囮となる策を一つとお願いしようとすると蒙恬は必要ありませんと断る。蒙恬は心配せずとも楽華隊の戦い方できっちり麻鉱軍の波状攻撃につなげると言い切った。麻鉱はなぜ波状攻撃をかけると知っていると聞くと、蒙恬はそれには答えず、最高の形を作って待っているので、そこからはしっかり頼みます、もたついたら主攻の座をうちがもらいますからねとだけ返した。

趙軍兵士は見えていなかった敵の奇襲を受け、敵数を実際よりはるかに多いと錯覚していた。さらにそこへ、五千もの騎馬第二波が加わったことで、紀彗兵は敵が数万に膨れ上がったような重圧を受け、大きく士気を下げさせられていた。しかもこれが第三波、第四波と続いてくるため、この強烈な波状攻撃をさらに横腹に喰らえばもはやこの戦場の勝敗は決したも同然であった。
だが、紀彗がそれをさせなかった。次々と指示を出し、立て直しを図ろうとする。部下からの本陣を後ろに移動し、後退し、前線を作り直すという進言を退け、全隊に本軍死守の令を出し、奮い立たせようとした。さらに敵が少数であるとことも全隊に伝えよと指示する。これは総数で負けている王翦の策であり、単純な戦力は紀彗軍の方が上であり、今の流れに押し切られさえしなければ必ず勝てると檄を飛ばす。
だが実際は楽華隊の奇襲及び麻鉱軍の波状攻撃により、兵力は同等か逆転していたのであった。無論そこは承知の上での檄であった。
この戦局の移ろいの中で麻鉱以上に紀彗が脅威を感じたのは蒙恬であった。

蒙恬は引いていく馬呈を見て、紀彗軍の本陣は健在で波状攻撃に耐えていると判断し、王翦が想定していた配置になったと語る。

紀彗本軍では対策が練られる。紀彗は蒙恬の遊軍が挟撃してくる可能性を危惧していた。部下からは楽華隊は本軍襲来のためのただの囮だったのではないかと聞くと囮で終わらすには五千の隊は大きく、波状攻撃を止めるために全力を注がなくてはならない紀彗軍に対して、五千の遊軍は真横からでも背後からでも決定打を撃ち込む最大の脅威であると話す。紀彗はそうなると戦局は遊撃隊を率いる将の才覚次第で大きく変わるが、開戦からの動きを見ても蒙恬は只者ではないと感じており、開戦前にここまでの盤面を描ききっていた王翦に恐れを感じていた。

王翦に左翼の戦局が伝わった際、王翦はやはり見えておったかと呟いた。そのつぶやきは左翼配置を伝えられた時の蒙恬のもたついたら主役の座をうちがもらいますからねという発言に対してであった。つまりその時すでに蒙恬にも王翦と同じ盤面が見えていたのだ。
蒙恬は一度敵の視界から消え、次の一手で大将紀彗の首を取ると宣言する。






さすが蒙恬!!!天才的な戦術眼を持ち、王翦のやはり見えておったかと言う一言に蒙恬の才能を認める気持ちがしっかり入っているのだなと嬉しくなりました。
しかし、紀彗って確か本能型の将だったと思うけど、未だにその片鱗は全く見えず…
あと、天才李牧はどう仕掛けくるのか、、、右軍救済に動くのかな

第521話 機動の妙

数の不利をものともせず、紀彗軍を楽華隊は翻弄する。狩場に引き込まれた紀彗兵は楽華隊にことごとく蹴散らされ、本陣まで退却する。蒙恬はそれを追いかけ、徹底的に背を叩いた。
その苦戦の様子は紀彗と馬呈に伝えられ、怒った馬呈は騎兵五百を引き連れて、楽華隊に襲いかかろうとする。
蒙恬はそれを見るとすかさず退却しようとするが、馬呈は逃すまいと追いかける。紀彗は今すぐ馬呈を呼び戻そうと伝令を走らせる。
蒙恬は黒羊戦の全容の情報から紀彗軍に関してほぼ丸裸にしていた。馬呈は紀彗の側近中の側近であり、圧倒的な武力で紀彗軍の攻を一手に担う男で、もう一人の片腕の劉冬亡き今、馬呈を討てば紀彗軍の力は半減すると分析していた。蒙恬は願ってもいない好機であるため、序盤で馬呈を仕留めようと考える。
馬呈が蒙恬達騎馬隊に追いついた瞬間、じい達が参上し、馬呈に襲いかかる。歩兵も来ており、蒙恬は再び旋回しら背後に回って、退路を断ち、馬呈の首を取ると宣言する。しかし、馬呈が振り下ろした斧に楽華隊は粉砕される。蒙恬は馬呈の力は報告以上だと認識する。

紀彗軍本陣に馬呈と楽華隊が乱戦に入ったことが伝えられる。紀彗は蒙恬の戦いぶりをみて、数多の戦い方を熟知していると感じていた。蒙恬は騎馬の機動力を駆使し、急襲と離脱を繰り返し、紀彗軍の戦力を削ぎ続ける戦術であり、放っておけば外側の歩兵がやられ、半端な数の騎馬で追えば奥に罠をはられ、それも討たれてしまうのであった。そこで紀彗は三万の全力で追い詰めて一撃で楽華隊を消滅させるべく、全軍右向きに陣形を変えさせる。紀彗軍は目を疑う程の早さで陣の形を変え、出陣した騎兵と歩兵は全速力で楽華隊に迫っていった。
しかし、結果これが完全に裏目にでる。紀彗軍全軍が右側に陣形を変えきった時、それまで正面だった左側より地平を埋め尽くす程の秦の騎馬隊が出現したのである。それは中央軍にいた王翦の片腕麻鉱軍五千であった。さらに出現した騎馬隊の奥にさらに五千の騎馬隊が紀彗軍に向かっており、さらにその奥に五千から一万の歩兵大軍勢が紀彗軍に向かっていた。



なんと序盤からすごい展開になって来ましたね。王翦のとんでもない作戦にいきなり紀彗軍はピンチに陥りましたね。しかし、そのきっかけを作った蒙恬はやはり非凡であり、その力は紀彗も認めるところでした。
ところで、麻鉱の奥の騎馬隊の五千とその奥の歩兵大軍勢はどの軍だろうか…やはり王翦軍のどこかの部隊なのでしょう。飛信隊を投入するには早い気がしますし…
ここで、天才李牧はどう巻き返しを図るのか、このまま右翼がもぎ取られるということは流石にないでしょう。

第520話 火蓋を切る

秦趙両大軍が対峙する。空気が張り詰める中、秦軍陣形の不可解さに一同に動揺が走っていた。信は飛信隊を中央軍に置くのであれば前かせめて横に並べろよと文句を言う。信がいる最後尾では戦場が全く見えなく、これでは飛信隊が李牧を恐れて隠れているみたいだと言う。貂はそれを聞き、王翦は飛信隊を敵から隠すために最後尾にしていると勘付く。羌瘣は左側に注意を払った方がいいと話す。この戦いは左側から動く、この布陣では左翼の方があまりに深刻な状況だと続ける。

趙本陣に秦の布陣が伝えられる。李牧はそれを聞き、開戦前から仕掛けて来るとは意外と大胆だと感じていた。
戦はそれぞれ戦いやすい局面から始めるのが常であり、そういう意味で秦軍左翼の五千という数字は極端に少なく、あからさまな挑発行為であった。それはさっさと左翼を攻めて来いという王翦から李牧へのメッセージである。李牧はここで二択を迫られる形となった。王翦の挑発通り秦軍左翼五千に紀彗軍で構成される趙右翼三万をぶつけにいくか、王翦の怪しい誘いに乗らずにそれ以外のところから始めるか、李牧の選択は前者であり、紀彗に秦軍左翼五千の殲滅の命令が下る。
これが王翦軍対李牧軍の開戦の号令であった。

楽華隊に趙軍右翼三万が真っ直ぐ向かって来ることが伝えられる。蒙恬はであれば仕方ないと出陣する。じぃは老体では主力騎馬隊には追いつけぬとし、陸仙に蒙恬のことを頼む。じぃは陸仙の矛の実力や機転を認めての依頼であった。陸仙は三万の敵にこの楽華隊五千で挑む王翦の無茶振りにも全く動じない蒙恬は大将軍と同じ目線で戦がみえており、もう若君扱いを止めた方がいいと諭す。

紀彗は全軍停止し、しばらく様子を見るとした。そこに前線の物見より敵の左翼五千がいつの間にか半分になっているという報告が入る。消えた半分は蒙恬が率いて紀彗軍の右の横腹をえぐったであった。
紀彗は右軍を右向きに陣を敷き直させ、騎馬隊に蒙恬の背後に回らせようとする。それをみた蒙恬はその場から離脱する。しかし、紀彗軍の放った騎馬隊は蒙恬達を追いかける。ところが、その騎馬隊に別働隊の陸仙の矛が突き刺さる。蒙恬はようこそ狩り場へと語る。




ついに苛烈の戦いが始まりましたね。王翦の誘いに李牧は乗った形になりますが、機先を制した蒙恬は流石ですね。李牧でも測れなかった王翦の意図を理解して動いた蒙恬はやはり頭脳ではすでに大将軍級であることは間違いないと思います!!
ただ、左軍の戦いは蒙恬は善戦はするだろうけど、紀彗、馬呈が出てきたら、流石にきついと思うので、次の手がどうなのか気になるところですね。そこにきっと王翦の誘いの片鱗が出て来ると思います。

第519話 総大将の流儀

邯鄲よりおよそ西に五十里、鄴より北におよそ七十五里に広大な平野と時折進軍をさえぎる森林と山が混在する朱海平原があった。そこはこれから南下する李牧軍と北上する王翦軍が激突する場所であった。
そして、両大将は斥候と共にすでに現地に入り、見晴らしのよい丘に立ち、地形を頭に入れて、そこに軍を想像し、陣形を組み動かし、壮絶に戦わせていた。両者の戦いはすでに始まっていたのである。

鄴では趙の解放軍が桓騎軍と戦っていた。そこではリン玉の騎馬隊が大いに活躍をしていた。趙軍は鄴が見える分、否応なく意識が前に来るため、リン玉の旋回横撃によって大打撃を喰らっていた。そこに雷土からの伝令が入る。現在戦っている敵の他に新たに左右から二千ずつ近づいているとのことであった。さらに別のところから新手の二千の騎兵が迫っているとのことであった。実際は桓騎軍に余裕はなく、摩論はその対応に大きく苦心していた。

朱海平原では両全軍が到着する。それぞれ将校を呼び寄せる。そして、作戦を伝え、配置に着かせる。秦軍は中央に王翦、麻鉱を置き、その後ろに飛信隊を配置し、合計五万八千、右翼は亜光と王賁で合計二万五千、左翼は蒙恬の五千であった。一方、趙軍は中央に李牧、金毛、カイネ、傅抵、尭雲を置き、合計六万、趙軍左翼は趙峩龍、馬南慈、岳嬰の合計三万、右翼は紀彗、馬呈の合計三万であった。
信は左翼の蒙恬を見つめる。

蒙恬は部下たちに楽華隊が栄えある第一陣で始めるぞと言うと楽華隊は大いに湧き上がった。




ついに陣形も明確になりましたね。王翦と李牧の意図は判りかねますが、蒙恬の左翼五千は相対する紀彗の三万に比べて、六分の一と非常に少なく、下手をすれば一気に飲み込まれてしまう恐れがあり、心配です。
蒙恬が王翦から作戦を伝えられた際、じっくり盤面をみて、心得ましたと言ったことから、王翦の作戦を理解し、これでも戦えるという判断をしたのでしょうね。内容はわかりませんが…
合従軍以来の蒙恬の見せ場なので、ファンとしては期待大です!!

第518話 戦地橑陽

それぞれの知らせは両軍ほぼ同時に伝わった。公孫龍は伝令より秦軍が鄴に対して兵糧戦を仕掛けており、閼与または橑陽の軍で鄴を解放しなければならないと聞く。公孫龍はならば待ちはここまでで、眼前の山民族軍を撃破するこということだなと確認すると伝令は李牧より山民族は圧倒的攻撃力を有していること以外は謎に包まれていることが多く、数の差の勢いで始めると大損害を被る危険があるため慎重に動くようと指示されていることを伝える。伝令はさらにとにかく大将を引き継ぐ舜水樹が到着するまで待機せよ、場合によっては橑陽に巣食う主力部隊も引き込む必要があるかも知れないと李牧の言葉を伝える。
公孫龍は蕞の解放は一瞬の出来事であり、故に李牧は山民族の力を測りかねているのだと感じていた。公孫龍は伝令に舜水樹はあとどのくらいで到着するのか確認する。伝令は半日のうちに到着すると返事する。公孫龍は舜水樹到着後、すぐに始められるよう全軍攻撃の隊形に変えるよう指示を出す。

一方、楊端和のところには壁が十日分の兵糧を持ち、一万の軍勢で向かっていることが伝えられる。伝令は王翦からその六万で相対する橑陽九万を足止めし、鄴の食糧が尽きて陥落するまで日数を稼ぐようにと伝えた。楊端和は相分かったと返事する。
しかし、楊端和は全軍に対して始めるぞと叫ぶ。

そして、山の民と趙軍がぶつかり合う。
趙軍にとって予想外だったことが二つあった。一つ目は趙軍を鄴へ行かせないと守ってくると思われた楊端和軍が逆に攻めてきたこと、二つ目は山の民の持つ破壊力が予測の数倍上をいっていたことである。

そして、信たちの軍勢も決戦の地に近づきつつあった。




ついに秦軍と趙軍の戦いが始まりましたね。やっぱり楊端和は時間稼ぎなんてしないですよね…時間稼ぎするのと、敵を殲滅するのは同じだろうと言いそう…
これでは壁が到着するまでに終わってしまうかな?
しかし、そこは舜水樹が橑陽に巣食う主力部隊を率いることにより、互角まで持ってくるのかな??しかし、橑陽に巣食う主力部隊って何だろうか…響だけは何かとても怖いですね

第517話 削り合い

李牧は悼襄王に謁見する。そこで悼襄王は李牧に対して、言い訳だけは達者だなと吐き捨てる。
李牧は処罰はいかようにも、しかし、事態は急を要するため精鋭を誇る邯鄲軍の内、十万を出陣させる許可を願い出るが、悼襄王に拒否される。悼襄王は邯鄲軍がこの王都から一兵たりとも出ることはあり得ぬと断言する。
李牧は鄴が落ちれば数年のうちに邯鄲にも秦軍の刃が届くと説明する。悼襄王は構わんと返し、秦の刃が届いたところで邯鄲は落ちるわけではない、鄴とて難民さえ受け入れなければ不落の城であったと続ける。さらに悼襄王は邯鄲が包囲されても十年でも二十年でも籠城は可能だと話す。
李牧はそれでもいつかは落ちますと言うと病がちな自分はその頃とっくに寿命でいっている、国がどうとか民がどうとか後のことなど知ったことかと嘲笑う。
そして、李牧に対して、さっさと失せて職務を果たせ、鄴を失えば李牧とその一党諸共皆殺しだと命令する。

李牧が廊下を歩いているところに太子が現れる。太子は李牧に対して西より早く戻ってきたことに感謝する。また、この戦局に関わらず、邯鄲軍が動かぬこと、父の難儀を代わりに詫びさせてくれと言い、必要とあらば兵の士気を上げに前線にて矛を振るう心構えであり、遠慮なく声をかけよと話す。李牧は心得ましたが、その必要がないように努めますと言うと、太子は今が正念場だ、鄴を頼んだぞと力強く言う。李牧は今の暗闇を凌げば太子の時代に趙は真の光が差すと信じていた。

王翦は幹部を全員集めて、王都圏の戦いの全容を説明し始める。趙は鄴の食糧が尽きて城が陥落する前に王都圏の各軍が四方八方より鄴を解放せんと群がってくる。防ぎようのない敵に思えるが実際のところ鄴を一撃で解放する力を有する軍は閼与と撩陽の二つであり、これが鄴まで届けば鄴包囲網は間違いなく崩壊すると断言する。そこで、鄴はこのまま桓騎軍六万で包囲を続け、閼与と撩陽以外の趙軍襲来に関しては全てこの六万で対処してもらうと言う。撩陽軍は楊端和が今相対している相手であり、撩陽城から増援を送ればゆうに十万超えとなるため、壁が一万の軍勢を率いて援軍に迎えと命令する。そして、閼与へは王翦軍七万と玉鳳隊五千、楽華隊五千、飛信隊八千三隊を加え、八万八千で北上し、迎撃すると宣言する。貂は閼与に偏り過ぎじゃないかと危惧するが、王翦は閼与が本命であり、李牧が必ず閼与軍に入って攻めてくるからだと語る。

邯鄲では秦軍が撩陽と閼与の軍の迎撃に出てくるという情報が入ってきていた。
李牧は舜水樹に対して撩陽軍に入り、大将となり指揮を執ることを命じる。残りは全て李牧とともに南下中の閼与軍に入り、将校として戦ってもらいますと宣言する。傅抵がこっちに面子を固め過ぎてはと危惧するが、李牧は王翦も必ず閼与に向けて戦力を厚くしてくると言い、ここからはいよいよ力と力の勝負と言う。鄴の陥落か解放はどちからが相対する敵を討ち破るかどうかにかかることになりましたと語る。




ついに鄴攻略戦の戦いの構図が見えてきましたね。舜水樹と楊端和はたぶん互角の戦いで楊端和が撃破されることはないと思いますが、李牧対王翦はお互いにどちらかが撃破されるまで死闘を繰り広げられるのでしょう。駒としては紀彗等もいることからやや李牧側が有利な気もしますが、始まってみないとわからないですね。きっと武神もどこかで出てくるのではないかな?

しかし、悼襄王は生まれだけが恵まれていただけで、王たる資質は何一つないですね…その王からあの太子が生まれるとは…すごい…