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第507話 仁と淡

緊張が走る仁と淡の初陣。兵士の死を目の当たりにして、戸惑い出す。楊端和は仁と淡を見て、信にお前達の弓使いはずいぶん子供っぽいなと言う。貂は隊の中でも最年少であるが、腕は間違いなく一級品だと断言する。しかし、信は二人はまだ人を撃ったことがないことを不安視していた。

鳥加族は盾を降ろし、弓矢を撃つ陣を構える。そこに仁と淡と仁と淡を守る飛信隊員も加わる。仁と淡を守る飛信隊員は鳥加族は城からずいぶん遠目に陣をとったなという印象を受ける。
しかし、淡は思っていたより近いと感じており、もっと後ろから撃ってもいいかと聞くと飛信隊員は敵の矢は全部盾で守るから安心しろと言う。しかし、淡はそうではなくてと続ける。
そのようなやり取りをしている間に鳥加族の射撃が始まる。城壁にいる趙兵は梯子を登ってくる山の民を矢で撃ち落としていた。その城壁の趙兵に鳥加族の矢が刺さる。それに合わせてバジオウの歩兵の梯子がかかり始める。信は流れが来ていることを感じたが、貂は仁と淡が矢を撃っていないことに気付く。
仁と淡は飛信隊員になぜ撃たないと問い詰められる。淡はここからじゃ敵の顔がはっきり見え過ぎると訴える。それがどうしたと返されると撃ち出したら、顔がはっきり見える相手を一方的にと淡が言うと仁はやめろと止める。仁は予想外なことが二つ起きているが、わかって来たはずだと言い聞かせる。予想外なことの一つは覚悟が少し足りなかったこと、二つは手の震えが止まらないことであった。仁は覚悟は今決めればいいし、この距離の弓なら多少の手の震えなど何の問題もない、自分達が撃てない間に梯子を登る味方を敵の矢が一方的に殺している、それを止める、今はそれだけを考えて、おれに続けと淡に言い、矢を放つ。その矢は城壁にいる趙の指揮官を射抜く。さらに仁は矢を放ち、次々と趙の指揮官を射抜く。仁は淡に続けと命令する。淡は一心不乱に矢を放つ。しかし、その矢は城壁に突き刺さる。何度も繰り返すが、全て城壁に当たっていた。淡はその場で泣崩れる。仁は十連だ見ておけと言い放ち、十射全て趙兵の頭を射抜いた。そしてついにバジオウが城壁に立った。



仁と淡の初陣ですが、仁は乗り越えられたものの、淡は未だに戦闘には慣れない様子ですね。
実力あるものが、実戦で使えるかどうかの瀬戸際なので、ぜひ淡も乗り越えほしいと思います。

第506話 山の民の攻城戦

楊端和の檄により火蓋が切られた列尾攻城戦。山の民は火球の如く列尾に突進する。
それを見た趙兵は城の中に戻り始め、矢の雨を浴びせようと待ち構える。
突進する山の民の中から一際速い部隊の飛馬族が飛び出す。その速さは凄まじく、城内に戻る兵に追いつこうとしていた。城壁の上から放った矢もその速さでかいくぐったのであった。焦る趙兵は兵が戻り切る前に門を下ろすよう命令する。
飛馬族は落ちる門をすり抜けようするが、間一髪門を閉める方が早く、激突する。激突を避けられた飛馬族は矛などで門を破壊しようと叩いた。また、持ち上げようと試みる。しかし、門は当然の如く閉まったままであった。
それを見た楊端和は大体うちはこんな感じだと言い、始めるかと城壁に梯子をかける。

一方、玉鳳隊は小休止に入っていた。そこに列尾攻めの報告が入る。また、城攻めが山の民と飛信隊だけだという内容は玉鳳隊員達を驚かせた。王賁は王翦の意図を自分の目で確かめると言い、走り出す。関常は素直に飛信隊が気になると言えばいいのにと言うと王賁はそれを無視した。

列尾攻城戦は山の民が矢の雨の中、城壁を登ろうとしていた。それを趙兵が必死に抵抗していた。それを見ていた羌瘣はこの城壁はしばらくは落ちないと見ていた。
楊端和は遠巻きに攻城戦の様子を見ていたが、ある攻めどころを見つけ、バジオウと鳥加族を呼ぶ。そして、信にそれを援護させるための腕の良い弓使いはいないかと尋ねる。
信はとっておきのがいると自信たっぷりに返す。




攻城戦始まりましたね。さすがに飛馬族の電光石火で終わることはありませんでしたが、あまり時間がかからず終わりそうな雰囲気ですね…

第505話 熱狂

趙の国門の列尾に到着した秦の連合軍。対峙する趙の軍勢に熱気と闘志がこもる。
趙兵は二日もすれば王都圏から大軍が到着するだろうが、それをあてにせず、近づく秦兵は皆殺しだと湧き立つ。
それを見た蒙恬は秦軍の数に逆に士気を上げてきたことに不安を感じる。また、楽華隊では王翦の飛信隊と山の民だけで列尾を落とさせるという作戦に疑問を呈した。蒙恬は城の作りはともかく士気の高さが厄介であり、国難に面した際の守る側士気で、城は何倍も強くなると感じていた。

秦と河了貂と楊端和、タジフらが並ぶ。河了貂は王翦の意図はともかく、やるからには自分達だけで列尾を落とすつもりでやる、しかも二日以内にと言い切る。それを聞いた楊端和は半日で落とすと断言する。城攻めは簡単であり、城壁を登って、裏に回り内から門を開け、部隊を突入させて中を制圧する、城壁を落とすのは山の民がやるので、飛信隊は門が開いたら中に突入できるよう準備をしとけと指示する。信と貂は楊端和の城攻めの甘い見通しに大きな不安を感じていた。
タジフは敵で城の外に出ている奴らがいる指摘する。貂は秦軍が近づけばすぐに城内に入る、背を打とうと焦って突っ込めば城壁の上から矢の雨を受ける典型的な戦術と解説する。さらに敵前に騎馬隊を出すという勇敢さを見せて自軍を奮わせる狙いもあると続ける。
楊端和は心配無用、山の民には山の民の戦い方があると言い残し、前に出る。今この地には百を超える山の族が集結しており、何百年も争ってきた大族まで参戦していた。どの族の長もこんなことは今まで起こり得なかったことで、全ては楊端和一人の存在であり、山界の死王と畏れられ、愛される女王一人の存在で山界の統一がなされたのであった。その楊端和はいつも敵を正面からねじ伏せていたのであった。
楊端和が一人前に出て、それを見た山の民の気持ちは最高潮に達する。楊端和は敵が何かさえずっている、あれが雄叫びとは片腹痛い、本物の戦士の雄叫びとはどんなものかと叫ぶと山の民の大声が地平線まで響き渡る。
それを聞いた趙兵に焦りが走る。
蒙恬は趙最大の武器の士気を正面から凌駕しようとしていることを見抜く。
そして、楊端和は山の民に血祭りだと号令を発する。





記事では少し省きましたが、楊端和の檄はなかなか凄いものでしたね。合従軍の際の蒙武の檄もなかなか凄かったですが、それに匹敵するかと思います。
やはり兵の力を最大限に発揮するために檄は重要なんでしょうね。
来週実際にどのように山の民が列尾を攻略するか楽しみです。
本当に半日で落としちゃうのかな…?

第504話 趙の国門

連合軍戦で初の趙軍との衝突。出撃したのは桓騎軍のみであった。干斗ら新しい飛信隊員は初めての実戦を目の前にし、緊張が走る。
王翦率いる本軍は桓騎軍に戦いを任せて行軍を続ける。それに山の民も続く。干斗らはみんなで囲めば数の差で圧倒できるのにと戸惑うが、貂は敵の狙いは足止めであり、全軍で付き合えば敵の思う壺であり、これが連合軍の強みでもあると断言する。今回の三軍はそれぞれが黒羊級の戦ならその一軍だけで勝利できるほどの強軍であり、この連合軍は三つの大局に同時に対応できると語る。
昌平君は鄴攻めでは戦が進み、戦局が複雑になればなるほど連合軍で臨んだ強みが発揮され、逆に発揮できねば勝ち目はなく、さらにそこに飛信隊、玉鳳隊、楽華隊の力が必要となる局面も必ず現れると話していた。
信は桓騎軍のことは気にせず王翦軍に続いて行軍すると宣言する。連合軍で一番重要なのは李牧を後手にしたまま王都圏に突入することだと続ける。

連合軍は行軍中に数度趙軍に道を阻まれたが、その都度王翦は別働隊をぶつけ本軍は着実に歩を進めた。つまり趙は秦軍の足止めを図ることは一切できなかったのである。
咸陽では順調な連合軍の足取りが伝えられる。予定よりも丸一日まいている状況であった。最初の目的地の列尾までは二日程度で到着する見込みであった。

夜、飛信隊陣営では主要隊員が集まっていた。貂が現状を説明し、もうすぐ列尾に到着すると話す。列尾は趙王都圏をふさぐ蓋であり、秦でいう国門函谷関であった。それを聞いた飛信隊の主要隊員は緊張が走る。楚水から王翦から列尾攻めの作戦は来ているのかと尋ねられると貂は何もないと返す。我呂は危惧するが、貂は列尾は手こずれば列尾奥の趙軍に固められるし、李牧も王都圏から戻って来てしまうため、電光石火で落とさなくてはならなく、出し惜しみはないと断言する。信は明日か明後日かわからなく、どんな役目が回ってくるかわからないが、しっかり気合い入れとけよと豪語する。羌瘣はそれを聞き、明日だと言い切った。

そして翌日、金安より進路を変えて十日目、ついに先頭を行く王翦軍は列尾に到着する。王翦軍の斥候の報告によれば列尾には大軍は到着していない状況ということであった。
王翦は楊端和と飛信隊を前に呼ばさせ、列尾は奴らに落とさせると言う。



まさか王翦は国門すら素通りで行くつもりですか??鄴までは王翦軍本体は一切戦をせずに進み、鄴を一気に攻め落とすということなんでしょう。
速さが最重要の戦いであるからこその選択だと思いますし、さすが戦局全体が見えているのだと思います。
楊端和率いる山の民と飛信隊連合軍の戦いは楽しみですね。早速王騎の矛が炸裂するのかな〜

第503話 火急の鳥

中原を東西に割るようにそびえる太行山脈では伝令の鳥が邯鄲に向かって、数多く飛んでいっていた。それは李牧からの伝言であった。
それを受け取った邯鄲では焦りが走り、公孫龍が急遽呼び出されることとなった。

老臣は入浴中の悼襄王に謁見し、李牧からの伝言である邯鄲の軍を興して列尾に送り、秦軍の進入を妨げるという旨を進言するが、悼襄王は邯鄲の軍は王を守るためにあり、王が邯鄲にいる限り、軍は王都を離れることはないと切り捨てる。
悼襄王は邯鄲の兵を使わずとも鄴を始め、周辺の城から集めれば大軍となり、それで十分であろうと諭す。老臣は李牧の代案と合致していたため、それを王命と受け取り、老臣と公孫龍はその場を去ろうとする。しかし、悼襄王は斬首ものの失態を犯した李牧本人はいまどこで何をしているのかと老臣に問うと軍と共に必死に山脈の合間を抜く道程で王都圏に向かって走っていると話す。

走る李牧に舜水樹が合流する。舜水樹は前線に張っておきながらの失態を詫びるが、李牧はいち早く邯鄲に鳥を飛ばすことができたため、この差が勝敗を大きく分けるかもしれないと話す。李牧は王都圏入口の列尾の戦いが長引けば秦軍よりも早く援軍が追いつき間に合うと話す。
傅抵は意表を突かれたとはいえ、列尾までの間を全て素通りさせるほど趙は甘くないと断言する。

飛ばしながら行軍を進める秦軍は中都市を避けて通っていた。貂は小都市であれば城に閉じこもるしかないが、中大都市であれば足止めに来るため上策であると感じていた。
飛信隊は右側に黄河をみる。それに沿って行けば列尾に着くと改めて気を引き締める。
そこに三千から五千の趙騎馬軍が王翦軍の前方と横腹を狙って突撃しようとしていた。しかし、王翦は馬脚を乱すな、直進すると命令する。部下がしかしと言うと王翦は桓騎が動くと返す。




ホント悼襄王は典型的なダメな王ですね
春平君のために李牧を咸陽に送るほどですからね…わかっていたことですが…

戦いは上手く李牧を出し抜けたものの、完全にまではいかなく、どちらが先に列尾に入るかが鍵になりそうですね。

第502話 機先を制す者

飛信隊は秦の兵糧中継地の金安に到着する。そこで飛信隊は先に到着している軍が夜営の準備をしていないことに気付き違和感を感じる。そこに信を総大将の天幕に呼ぶ伝令が現れる。
信が天幕に到着すると王翦は全軍この金安から進路を変え、鄴へと向かうと告げる。壁は黒羊から西部攻略に入るのでないのかと尋ねると王翦は否定し、準備はあるため心配は無用だと返す。
さらにすぐにここを発つ、各将責任を持って己の軍、隊を動かせ、もたつく小隊があればその上に立つ者の首を刎ねると宣告する。蒙恬は進路変更により、李牧に真意がばれ、王都圏の攻防まで突っ走ることになると気を引き締める。さらに夜通し進軍して李牧を徹底的に後手に回すと口にする。

趙西部前線都市武白では李牧は対燕への対応に四苦八苦していた。東の防衛戦はオルドに崩されており、李牧を焦らせていた。李牧は扈輒を止む無く東に向かわせるべく、カイネに急報を出させようとするが、燕の進路が中都市青歌だと報告を受けると驚きの表情をする。
青歌には司馬尚は青歌城主でその実力は李牧が三大天に推すほどのものであった。しかし、司馬尚は病に伏せていると虚偽の報告をし、断っていたのだ。そこに青歌軍五千を城主司馬尚が自ら率いて出陣したという急報が入る。李牧はそれに安堵し、東は次の大きな動きがあるまでは一旦置くことにした。
そして、李牧は舜水樹が戻ってきてないことに気づく。部下の一人が東からの急報を優先にしたため舜水樹の報告を後回しにしていたと弁明する。舜水樹は秦軍は金安からの進路を変える可能性があるため、前線に残るとしていた。
李牧はその報告を受け、地図を開く。李牧は熟考し、秦軍の目標が王都圏にあることを察知する。そして、鄴が狙いだと看過すると正気かと叫ぶ。
夜が明ける頃、金安にいた秦軍二十万の姿が消えたという報告が舜水樹の元に届いた。




ここからは鄴攻略戦に入りますね。李牧と王翦の知恵比べが見れることになるでしょう。非常に楽しみです。
しかし、新しいキャラの司馬尚はどんな人物か、実力はどれほどなのか気になりますね〜
李牧が三大天に推すほどなので、当然本物でしょうけど

第501話 気運の探り合い

秦軍の趙西部討伐軍の姿を見て、赤連城の兵達は沸き立ち見送っていた。
信と貂は赤連は兵糧を隠し集めている金安まで二日であるため、緊張が走っていた。貂は金安が進路変更地点であると推測しており、集結した兵糧をつかんで一気に南東へ道を変えると考えていた。そこで李牧に露見し、秦軍が先に王都の蓋である列尾を抜いて王都圏に侵入するか、趙に先に入口を固められ、侵入を阻止されるかが勝負の決め手であった。何も聞かされていない軍の金安からの進路変更が大きな山であり、総大将王翦の手腕にかかっていた。

王翦は全軍に小休止の命令を出す。
妙な位置での小休止であったが、しばらくすると大雨が降ってくる。桓騎は雨の中の行軍は疲れるため、体力を温存しとけということだと推測し、逆に走るときはとことん走らせるのだなと感じ取った。貂は軍の体力調整をしており、王翦の本番への助走はもう始まっていると心を引き締める。

趙西部の最前線地では秦軍の行軍の様子が報告されていた。舜水樹は李牧から武白へ戻るよう指示を受ける。舜水樹は伝者に報告しておくことはないかと確認すると伝者の一人が発言する。
それは金安に潜らせている間者の五人が消息不明になっているとのことであった。舜水樹は他の場所でも消息不明があるかと確認するとそれはないと返す。
舜水樹は金安だけが他よりも警備が厳重であるのは金安がただの中継地ではなく、何か秘密があると考え始める。そして、兵糧中継地が隠すものは二十万の兵が何十日も食える分の兵糧だという結論に至る。
そこで舜水樹は秦軍は金安より進路を変える恐れがあることを即座に李牧に伝えるため、伝令を走らせる。

舜水樹が金安の不自然さに気付き、李牧に伝者を送ったその時、王翦が独自に放った間者から急報が入った。それは趙からのものではなかった。それをみた王翦は行軍を早める指示を出す。

李牧本営地の武白では舜水樹の急報が李牧の元に到着しようとした正にその時、城内の李牧の元には別の急報が届いていた。それは王翦が掴んだ情報と全く同じものである。
燕のオルドが動いたのである。オルドは李牧の気が西に向かっている好機を見逃さず、趙に攻め入ったのである。
趙は王都圏の攻防に入る前に燕と戦うのであった。
李牧ら本営の意識が東へ持っていかれたころ、秦連合軍はついに進路変更地である金安城の姿を目視する所まできていた。




出たー
合従軍戦で10点という最低評価を喰らったオルド。秦と趙の一大決戦に横槍を入れて、掠めとろういうところが戦国の世の常ではありますが、小者ですね。
ま、李牧が出てきて、少し戦ったら兵を引くことになるのでしょう。
しかし、この小者のお陰で秦にとっては貴重な時間稼ぎになることは間違いなさそうですね。
舜水樹の気付きがどこまで生かせるのか、気になるところです。


皆様明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今年は趙との一大決戦に終始しそうですが、合従軍級の緊迫感のある戦いが見られるのではないかと期待しております。
今年もしっかりブログを続けていきますのでよろしくお願いします。

第500話 進軍路の兵達

始皇十一年、王翦、桓騎、楊端和連合軍は巨大なる列をなし、趙に向け出陣した。
趙西部前線の武白城では秦の進軍の急報が入る。そこには李牧、舜水樹、馬南慈、カイネ、傅抵達がいた。舜水樹が軍の数を聞くと伝令は十万から二十万と返す。傅抵は二十万であれば黒羊の三倍以上であると驚く。
李牧は昌平君は趙西部攻略の長期化が命取りになると気付き、この一戦に掛けてきたと判断し、カイネに扈輒将軍の出陣を依頼する使者送るようを指示する。扈輒将軍は王都の守護神と呼ばれる人物であった。李牧は秦は放てる力全てを出してきているため、さらに紀彗にも招集の指示を出す。李牧は最前線で情報を集めるとし、舜水樹には秦の兵糧の量と流れをしっかり追うことにより、秦の意図を推し量るようにと命令する。

河了貂は進軍する中、楊端和に会いに行っていた。
河了貂は楊端和に飛信隊は楊端和軍に入ることになっているが、飛信隊はある程度自由をもらってこそ力を発揮するため、細かい戦術を使う時は飛信隊を中心に置かないようにと依頼する。楊端和は昌平君よりそう聞いているから安心しろと返す。
楊端和は河了貂に大きくなったものだと微笑み、最初に政と信と河了貂の三人で会いにきた思い出を語る。河了貂は自分も含め、信も政もこんな風になるとは夢にも思わなかったと呟く。しかし、楊端和は政の目を見たときにここまでになると感じていた。
河了貂の目に桓騎軍の最後尾が入る。河了貂は今回の戦いは速さ勝負になるのに桓騎軍の進軍の遅れていると怒りを露わにする。
しかし、楊端和は桓騎軍が遅いのではなく、山の民軍を先導している飛信隊の足が速すぎると指摘し、さらに少し肩の力を抜けと諭す。鄴攻めを知る中で昌文君と河了貂が一番力が入り過ぎており、その不自然な緊張は下の兵にも伝わり、それがそのまま趙にも伝わると教える。
今回の鄴攻めは黒羊の西部攻略と見せかけて、趙軍主力を西に固めさせ、途中で進路を変え、一気に王都圏に攻め込む作戦であり、いち早く西部攻略が嘘だと気付かれ王都圏を固く守られれば近づくことさえできなくなる。序盤戦はどこまで李牧を欺き、鄴攻めを悟らせぬかにかかっており、進軍を急ぐのは黒羊から鄴へ進路を変えてからであり、それまで過度の緊張感を出すべきではなく、いつもの戦と変わらぬ気配を装わなくてはならない。これだけの大軍であれば敵の間者も必ず紛れ込んでいる、相手は李牧だ、戦はすでに始まっていると忠告する。

黒羊までおよそ五日の秦軍兵糧中継地金安には軍より先行する兵糧運搬の中にまで間者は入っていた。趙は秦軍の兵糧の流れをしっかり掴んでおり、兵数は二十万前後であり、そこから三軍全て一度黒羊に入り、そこから三軍同時展開してくると舜水樹は判断し、李牧に伝令を走らす。
しかし、三ヶ月前に作られた金安城内の極秘地下施設では集めた兵糧を一度出し、土と材木で重さを合わせた偽装俵が大量に作られていたのであった。趙の目が追っていた金安から黒羊へ続く兵糧の兵站は偽物であり、実際の兵糧はこの金安に着実に集積されていた。秦軍の仕掛けはすでに始まっていたのである。




さすが昌平君。李牧が兵糧に目を向けることを予測し、その手をすでに打っているとは驚きでした。
今のところは李牧も趙西部攻略が本命と思っているでしょう。いつまでバレないのか…少しでも遅いことを祈ります。


皆さま今年一年このブログを応援して頂きありがとうございました。お陰様で無事今年も続けることができました。来年は秦対趙の苛烈なる戦いが繰り広げられるでしょうし、信の王騎の矛を振るう姿を早く見たいとも思います。
来年一年ではこの戦いは終わらないとは思いますが、様々な局面を迎えることと思います。
来年もぜひこのブログを応援頂きますようお願いいたします。

第499話 手にする想い

歓喜と緊張が入り混じる中、三将による連合軍がいよいよ趙に向けて咸陽を発った。咸陽は三軍を見送る歓声で賑わっていた。
そこで貂は壁と出会う。壁は南にいたが、この戦争に招集されていた。今回の軍はおよそ二十万の規模で合従軍を除けばここ十年で最大規模であった。壁は軍の規模もさることながら、本営上層部に妙な緊迫感があり、想像以上に大戦になる予感を口にする。貂は壁の意見を聞き、鄴攻めのことは情報漏れを恐れて、三将と信、蒙恬、王賁しか知らないことを改めて感じた。

歓声が一気に沸き立つ。今回の総大将である王翦が現れたからであった。壁は今回の総大将が王翦で本当に大丈夫か疑問であった。貂はそれを聞き、昌平君も同様に人間性に疑念を抱いているが、王翦にはその不安をおして余る秘めた力があると話す。

昌平君は信と蒙恬と王賁が集まった際に六将胡傷が王翦を認めていたことを話す。胡傷は唯一の軍師上がりの六将であり、頭脳だけで登りつめた軍略の天才てあった。戦争の自由を与えられていた六将も実際の戦略の大枠は胡傷が作り、他の五人を操っていたとも言われていた。昌平君は胡傷こそ自身の軍略の師だと語る。その胡傷が昔昌平君に王翦はその軍略の才だけで六将の席に割り込んでこれる逸材だと言っていたと話す。

昌平君は隣に立っていた王翦に授けた鄴攻めの攻略は戦局の流れによっては捨てていいと語る。そして、適宜判断を将軍に任せるとした。王翦は分かっているとだけ返した。そして、昌平君達はその場を離れようとする。王翦はその昌平君に対して、出陣前に頼んでおきたいことがあると語りかける。

信はいざ出陣という際に政を呼び出す。政は信からの預かり物を持ってきていた。それは身長よりも遥かに大きい矛でその重量も並大抵ではなかった。
その矛は王騎の矛であった。
信は王騎将軍の矛を手に取る。
王騎から授かった時は色んなことがいっぺんに押し寄せてよくわからなかったが、改めて持ってみるとすごく重いし、すごく熱いと言い、いきなりじゃ振り回されそうだから、使いながら慣れていくと話す。
政は出発する信にいつも通り勝報を待つぞと言うと信はこの矛で李牧の首をぶっ飛ばしてくると宣言する。






ついに信が王騎の矛を持ちましたね!!
感動で涙が出そうになりました。
ぜひ王騎の矛で趙をなぎ倒してほしいと思います!!

王翦の過去が少し語られましたね。六将の頭脳の胡傷が認めた王翦は今中華でもトップクラスの頭脳であることは間違いないですね。
今までの戦いから見ても焦ったところは一度も見たことないですし、今回の戦いの総大将としては適任かもしれないですね。性格に難があるのが不安要素ですが…

第498話 大軍勢の緊張

静かに沸き起こる熱気と士気。今回の趙との大戦に向かう大軍が一堂に会していた。
干斗ら飛信隊新人はあまりの迫力に気圧されていたが、そこに楚水が現れ、練兵は十分にした、自信を持って胸を張れ、俺たちが飛信隊だとなと声をかけると、干斗は大声を上げ、気合を入れ直した。
松左や崇原は合従軍以来の大軍に本営の本気さを感じていたが、総大将が誰だか明かされていないことに不思議さを感じていた。渕さんは信に聞くものの、今日まで明かせないと言われていた。
崇原は総司令に呼び出されてから信と河了貂に力が入っており、情報漏れを恐れて大将の名すら隠すほど慎重であるということはそれだけ今回の戦が大事であると感じていた。

そこに昌平君が壇上に上がる。
昌平君はこれより全軍で趙西部へ攻め込む。この一戦からいよいよ宿敵趙国と真っ向から総力戦に入る。敵も必死だ、死に物狂いで反撃に出てくるだろう。だが、絶対に退くな、必ず勝利し、趙の地に秦の旗を掲げてこいと集まった大軍の士気をさらに高める。
昌平君はではこれより軍を率いる将軍を発表する、桓騎将軍と叫ぶ。その名を聞いた飛信隊には衝撃が走る。しかし、田有は黒羊を落とした大将で、西部攻略なら桓騎がそのまま大将を務めるのが自然だと口にする。
昌平君はそして軍を率いる将軍をもう一人発表すると言い、楊端和が壇上に上がる。そして、山の民が現れる。その仰々しい面持ちに新しい飛信隊員は味方かどうか怪しみ、言葉も通じないことから不安感が募り始めていた。しかし、信はバジオウとタジフの前に出て、また一緒に戦えて嬉しいと握手を交わす。
楊端和が出てきたことに桓騎軍が騒めき立つ。桓騎が総大将であると思っていたからである。昌平君は桓騎と楊端和はそれぞれの軍の大将であるが、全軍の総大将ではないと説明する。今回は大いなる戦いとなるため、三軍で打って出るとし、三つ目の軍の将であり、総大将は王翦であった。
今回の対趙の戦いは王翦、桓騎、楊端和の連合軍隊であった。




王翦、桓騎、楊端和、さらに飛信隊、楽華隊、玉鳳隊の三隊は相当物々しい雰囲気でしょう。
しかし、王翦、桓騎、楊端和は個性が強すぎて連携などあり得ないような気がしますが…王翦はまとめきれるのだろうか〜
作戦としては趙西部を王翦、桓騎、楊端和が攻めて、飛信隊、楽華隊、玉鳳隊がその間に鄴を取るというものになるのかな。