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第529話 端和の勇

山界の王、楊端和率いる秦軍を犬戎が迎え撃つ。犬戎は山の民に突撃をかけ、挟撃し、秦軍を追い詰めていた。ロゾは舜水樹に退がり始めた秦軍の背を撃ち、ここで秦軍の半数を葬ると話す。
次々と斬られていく兵達を見て、楊端和は歯ぎしりをしていた。そして、ある山を見つけると、三族を連れて、奪いにいこうとする。他は壁軍とそのまま後退を続けるよう指示する。

山を駆け下りる犬戎と楊端和がぶつかる。楊端和の武が圧倒し、犬戎を弾き飛ばす。趙兵はそれを見て、あんな小さな山に登れば逆に逃げ場を失い、全滅するだけとらあざ笑うが、ロゾは楊端和が山を取ると侮れぬ動きをすると警戒する。楊端和は山の中腹から一斉五射の号令を出し、犬戎に向かい、矢を放つ。また、山を取り戻そうとする犬戎に対して、突撃し、敵を炸裂させる。
壁は楊端和が拠点を作ったこともあり、百歩退がったところに前線を作り、敵を挟撃しようとした。

それを見たロゾは楊端和の実力を認め、生皮を剥ぐには少々惜しいと呟く。舜水樹はお前がやらないならおれがやると言うが、ロゾに調子にのるな、おれの獲物だと制せられる。舜水樹はどちらでもいい、我らがここで勝ち、向こうの戦場でも李牧が勝つと力を込めて言う。


橑陽より北東へおよそ三百里。もう一つの戦場でも大きな異変が起きようとしていた。紀彗の首を取ってこいと言われた飛信隊は隊を進めていた。森を抜け、ついに左の戦場に辿り着く。河了貂は聞いている以上に麻鉱が押し込んでいることに驚く。さらに奥に楽華隊が、紀彗本陣に迫っていた。信は黒羊であれほど手強かった紀彗を追い詰めている蒙恬に素直に驚いていた。羌瘣は紀彗と首を取る好機だと言い、信は紀彗の首を取るべく、突撃の命令を出す。
朱海平原開戦初日、最大の衝撃はすぐそこまで迫っていた。





さすが楊端和というところですね。武力で劣勢を跳ね返した。これから縺れそうですね。
朱海平原初日の最大の衝撃とは何か。誰かの首が飛ぶことは間違いないが、左の戦場であれば、紀彗、馬呈、麻鉱の三人の内の誰かということになりそうですね。
李牧の描写が何もないところからすると、知らない内に麻鉱に魔の手が伸びているかもしれませんね。

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第528話 犬戎の末裔

壁は橑陽城を見て、城が山と一体化して砦になっていることを確認する。楊端和は崖上の黒い兵達から獣の気配を感じていた。
趙兵は犬戎の末裔が趙王都圏の橑陽城にいることに戸惑う。舜水樹は犬戎は周を滅ぼした後、中華への定住に失敗し、族のほとんどは北の大地に流れ、匈奴に変貌したと言われていると説明する。公孫龍はだが、一部は太行山脈を縄張りとして、中華に残り、その後趙国がこの地に生まれ、犬戎とは戦わないために橑陽を与え、趙の中に取り込んだのだと付け加える。さらに犬戎本人達は取り込まれたとは思ってなく、実際橑陽には犬戎の自治権があり、趙からすれば治外法権の領域で趙の要人ですら誰も近づかなく、噂では無断で縄張りに入ってきた相手は容赦しないと話す。

犬戎は叫び、一気に崖を駈け下る。楊端和はそれを見て来るぞと叫ぶ。舜水樹は趙兵に道を開けるよう指示する。シュンメン隊は犬戎とぶつかるべく、突撃する。しかし、山の民は劣勢であった。
犬戎王ロゾは公孫龍の前に立ち、この軍の大将は貴様かと尋ねる。そうすると舜水樹はこの大将はおれだとロゾに言う。ロゾはさっそく此奴の首を刎ねよと部下に指示するが、舜水樹は犬戎族の言葉で早まるな、伝えることなく戦に巻き込んだのは詫びるが、今は趙宰相李牧の代理で来ており、舜水樹を切ることは李牧を斬ることと等しい、趙宰相を殺めてはさすがに犬戎族に明日はないと説く。ロゾはなぜ我らの言葉を話すのかと問うと舜水樹は匈奴の言葉だと返す。ロゾはそれにしても流暢であり、訳ありかと呟く。そこまで犬戎族の言葉で話していたが、ロゾは平地の言葉に切り替える。ロゾは貴様らの王はクソだが、李牧は年に一度自ら橑陽に赴いて雁門のうまい羊を振舞ってくる、話を聞くだけ聞こうと言う。舜水樹は単純な話だ、こんなところまで侵攻してきた秦軍を共に戦って跡形もなく叩き潰す。この戦いで趙が敗れるのうなことがあれば鄴は奪われ、この地に今の何倍の秦軍が押し寄せ、攻め取られると話す。ロゾは脅しかと問うと舜水樹はいや、見返りは来年以降も李牧自ら振舞われるうまい羊の肉だと返す。
ロゾはそれを聞き、悪くないなとし、山の王などとのぼせ上がっている小娘の生皮をこの手で全て剥ぎ取ってくれると断言する。





さすが李牧。こういう時を見込んでと言う訳ではないと思いますが、国内に巣食う言わば毒とも成り得るものとも友好関係を結んでおり、自分が危機的な立場になった時に助けとなる。あまりクローズアップされないかもしれませんが、李牧の恐ろしさの一つだと感じました。

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第527話 橑陽の牙

早くも両翼の熱戦が展開する李牧と王翦の朱海平原の戦い。その地より南西に約三百里ではもう一つ重要な戦いが同時進行していた。山界の王楊端和軍対橑陽軍の戦いである。

壁は山の民の戦いぶりを見て、その強さに驚きを隠せないでいた。壁の援軍一万が加わらずとも山の民五万で九万の敵を圧倒していたのだ。しかし、楊端和は趙軍の戦い方が単調であるため、何か狙っているかも知れなく、流れ次第ではすぐに壁に出陣してもらうと話す。
そこに少数の騎馬が楊端和本軍の前を通る。その騎馬は舜水樹が率いており、山の民の亡骸を引き摺っていた。そして、舜水樹の合図と共に遺体に矛が突き刺さる。さらに舜水樹は楊端和を指差し、挑発する。それを見た山の民は怒り、舜水樹の後を追う。公孫龍は顔に似合わず派手な登場だとし、迎えの隊を送る。山の民の陣では楊端和はしっかり顔を覚えたぞと怒りを露わにする。

舜水樹は趙本陣で全軍退却を指示する。舜水樹は戦いで勝つにせよ、奴らを深く引き込み、一人残らず息の根を止めたいと考えていた。懸念としてはここで討ちもらした残兵が李牧の朱海平原に流れることであった。公孫龍はどこまで後退をと尋ねると舜水樹は橑陽城までだと返す。公孫龍はそこには厄介な…と焦るが、舜水樹はそのまさかであり、橑陽の牙で秦軍を引き裂くと断言する。

山の民と戦っていた趙軍は全軍退却を開始した。山の民は不自然な退却に素直に追って大丈夫かと楊端和に聞くと追わずに視界から消えられ、軍を分けて鄴に行かれる方が厄介だと返す。壁は敵の意図はともかく、兵糧攻めしている秦軍の目的は鄴に敵を近づけぬことであり、後ろに追い込むことは鄴から遠ざけることで、好都合と考えた。しかし、それを聞いた山の民はそれ故不気味だと気付かせる。楊端和は退がる理由としてはこの先に趙に有利な戦場があるのか、強力な援軍が待っているかのどちらかだと話す。

趙軍では公孫龍が舜水樹に本気で橑陽城をこの戦いに巻き込むのかと尋ねる。舜水樹はそれに答えず、他の部下がさっきの橑陽の牙とは何かと尋ねる。舜水樹はここにいる軍は橑陽軍であるが、橑陽一帯の城から集められたもので、真の橑陽城の兵ではないとし、橑陽城には趙人とは異なる人種の人間が巣食っているのだと説明する。

楊端和は橑陽城まで来ると全軍停止、敵の突撃に備えよと支持する。それは犬戎であった。橑陽には中華の周王朝をその手で滅ぼした大犬戎族の末裔が城を占拠していたのだ。




犬戎族ですが、たぶん趙にとっては厄介な存在なんでしょう。それを秦軍にぶつけるとは毒をもって毒を制すようなものなのでしょう。山の民は犬戎族と趙軍九万を相手にするという非常に苦しい戦いになってきましたね…
ちなみに舜水樹の挑発は楊端和に橑陽まで確実に追って来させる以外にも何か意図があるのでしょうか…謎ですね。

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第526話 槍と鉄槌

鋭き槍術の使い手王賁と馬南慈の一騎討ち。王賁は連続の突きを馬南慈に浴びせる。番陽は王賁の槍に速さと正確さに加え、紫伯のような破壊力まで付いてきた姿を見て、間違いなく中華五指に入ると確信する。
馬南慈は王賁の槍に圧されるが、何とか矛で受けきっていた。しかし、矛を振ろうにも間合いに入る前に凄まじい連打が飛んでくるため、防戦一方になっていた。さらに、部下より刻がなく、一旦離脱しましょうと進言を受ける。
馬南慈はそれを否定し、この男に鉄槌を喰らわしてはおらぬと矛を王賁に投げつける。王賁はそれを槍で払いのけるが、馬南慈は王賁に飛びかかり、右手を掴むとそのまま馬から引きずり下ろし、渾身の拳を王賁の頭めがけて振り下ろす。間一髪のところで王賁はその拳をかわす。
そして、馬南慈は部下から矛を投げ渡される。それを掴むと同時に背後からきた亜光と刃を激しくぶつからせる。力の勝負に馬南慈は亜光の方が相性がいいと感じる。
そして、馬南慈は猛者二人同時に鉄槌を落とすには連れてきた兵力が少々不足していたとその場を去ろうとする。亜光は逃げ切れると思うかと言うと馬南慈は逆にこんな初日で馬南慈の首が取れるとでもと聞き返す。
そこに後ろから趙軍が現れる。亜光が左側に来たため、兵力が固まり、趙軍の第一陣が復活してしまったのであった。押し込まれていた岳嬰が息を吹き返すには十分の隙であった。趙峩龍はそれを見て、馬南慈は戦をよくわかっていると感じていた。趙峩龍の部下はさらに我々が出陣すれば形勢は一気に趙側に傾くのではと尋ねるが、趙峩龍は出陣は敵がもっと弱ってからだ、十分弱ってから食しに行くと返す。

その頃秦軍中央本陣では信が王翦に呼び出されていた。王翦は信に隊内で脚の速い八百機を選りすぐり、今すぐ出陣せよと命令を下す。信がどちらの戦場へと尋ねると王翦は左だ、左の戦場に割って入り、お前が紀彗の首を取って来いと指示する。




まずは合併号のため、来週はヤンジャンの発売自体ありません。
おー遂に飛信隊出陣ですね!!しかも紀彗の首を取れという指示でなかなか痺れますね。秦軍はちょっと左に戦力が寄りすぎな気がしますが、それも作戦の内でしょう。信と羌瘣でぜひ紀彗を討ち取って将軍昇格を確実にしてほしいと思います。