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第494話 地下牢の賢人

夜陰に紛れ、警固されている場所へ昌文君が現れる。そこは咸陽内の某所であり、昌文君は見張りに非公式であるため、他に漏らすなと忠告し、地下の見張りも外に出るように命令する。

昌文君は蔡沢の葬儀を思い出す。国葬並みの規模の葬儀であり、六国全てから弔辞が届いていた。さらに長年出向されていた燕とは同盟の段取りを済ませる働きをしていた。シシは秦のために最後の置き土産をしていった蔡沢は呂氏四柱で長年敵対していたとはいえ、立派な国士であったと口にする。
昌文君は本当に大きな置き土産は斉王との会談であったと感じていた。蔡沢は自らの死期を悟り、何とか事切れる前に強引にでも斉王と大王を引き合わせたのだ。昌文君はそこで政が放った法に民を治めさせるという言葉を思い出す。昌文君はシシに法について秦国内で第一人者であるかと問うとシシは否定し、法の番人の異名は伊達ではないと断言する。それは李斯であり、李斯こそ法の化物であった。

昌文君は檻の前に立つ。李斯は昌文君に何の用だと言い、昌文君は蔡沢が亡くなったことを告げる。李斯は聞いていると返し、用が済んだら失せろ、昌文君が思っているほど暇ではないと冷たくあしらう。昌文君は李斯が書物をしている姿を見て、何をしていると聞くと李斯はもはや呂氏四柱としての立場は消えたため、今は純粋な法家だと返した。
法家は法学書を読み、新しき法の草案を考えるものだと言うと昌文君はその新法を施す日が李斯に来るとでも思っているのかと言う。李斯は自分に来なくても法は成長しながら生き続けると自らの考えを言った。
昌文君は蔡沢は最後に宿題を置いていったと李斯に吐露する。蔡沢は会談の流れを予見しており、昌文君を会談の場に留めたと考えていた。昌文君は李斯に秦は六国を制覇した後、法が支配者となり、全中華を治める法治国家を作り上げると断言する。
李斯はそれを蔡沢が言ったのかと確認すると大王だと言い切る。李斯はそれに驚きを感じる。しかし、昌文君は大王が言うことは大いなる答えであることはわかるが、中華を治める法がどういうものかその片鱗すら見えてこないと苦悩していたのだ。李斯は中華を一国とした法治国家は法家の真髄に触れており、昌文君如きの理解が届くところではないと切り捨てる。昌文君はでは李斯には見えるのかと問うと李斯はぼんやりとだが見えると言い切る。昌文君はそれを教えてほしいと頼むが、李斯は昌文君に教える義理はないと拒否する。昌文君は先ほど純粋な法家だと言っただろうがと縋り付くと李斯は筆を置き、語り始める。
中華を統一できたと仮定し、単純に国民が増えたという認識で法作りに入ると大失敗に終わる、なぜか分かるかと昌文君に尋ねると昌文君は新しく増える国民がそれまで戦ってきた敵国の人間だからだと返すが、李斯は文化形成が違うからだと否定する。六国それぞれに文字、秤、貨幣、思想が違い、特に中原の儒家思想は法よりも上に来るため、法と思想の戦い、法家と儒家の違いが勃発するのであった。李斯は中華を治める法とはバラバラの異文化を持つ六国の人間を一つにするのでなければならぬと断言する。そして、李斯はそもそも法とは何だと昌文君に聞くと昌文君は戸惑いながら、刑罰を持って人を律し治めるものだと答えると李斯は刑罰は手段であって、法の正体ではない、法とは願い、国家がその国民に臨む人間の在り方の理想を形にしたものだと豪語する。統一後、この全中華の人間にどうあってほしいか、どう生きてほしいか、どこに向かってほしいか、それをしっかり思い描け、それができれば自ずと法の形が見えてくる、無論その先が大変なのだが、まずそこからだ、気概を持ってやれと言う。昌文君は李斯の言葉でその実力を理解し、土下座して、李斯に力を貸してほしいと懇請する。蔡沢があの場に昌文君を同席させた理由は昌文君に統一後、李斯の力が必要だと気付かせるためであったのだ。




李斯の法とは願いだという言葉に心動かされました。李斯は李斯で熱い思いを持っているんですね。単なるアタマデッカチではなかったですね。中華統一後は基本的に敵はいなくなるので、軍人ではなく、文官がしっかり活躍する必要があり、李斯はその最たる人物なのですね。

しかし、昌文君の自分のプライドなど簡単に捨て、政の中華統一のため、平和な世界を作るために李斯が必要であれば土下座してお願いできるのはカッコイイと思いました。
昌文君は昌平君、李斯、王騎などに比べて、特段秀でるものはないが、政に心底忠誠を誓い、粉骨砕身で働いているので、改めて最重要人物であることは間違いないと思いました。
飛信隊で言えば渕さんみたいなものかな??

第493話 再出発

弓矢兄弟の兄の仁は中華十弓について語り出す。中華十弓は趙武霊王の時代に全土から弓自慢を呼び集め、腕試しを催し、その時上位十名をそう呼んだのが始まりである。その時優勝した金令は五百歩のところから、十射し、八射的を射抜いたと言われている。そこで、実際に兄弟は五百歩先に的を立て、射抜こうとするが、その的は微かに肉眼で捉えることができる程度であった。兄弟は矢を放つもその矢が当たったかどうかは判断つかなかった。
ちなみに蒼源も十射中八射的に当てていたのである。しかし、魏には十射や九射的を射抜く馬朱離という達人がいたのである。貂は馬朱離は神弓の異名を持つ魏の最強弓兵であり、戦場では百人以上の敵将校の頭を射抜いたと言われていると語り、今は前線を退いているものの、いまだに十弓の上位三人のうちの一人と続ける。信が残り二人はと聞くと、貂は燕の仙手備と趙の青華雲だと返す。
仁は父は魏の馬朱離と戦うために仁と淡を山に残し、戦場へ出て行ったと話す。そして、運悪く麃公軍に入り、すぐ討ち死にしたと聞いていたのだ。しかし、そこに岳雷が割って入り、蒼源が何もせずに死んだのは間違いであり、蒼源は長い期間ではなかったものの、矢で多くの味方の命を救い、多くの敵将校を射殺し、戦を勝利で導いたのだと強く語った。
中でも凄かったのは中華十弓と言われた魏の白公との弓対戦であり、合戦の最中乱戦場を挟んで二人は互いに撃ち合い、六射目で蒼源の矢が白公の右目を射抜き、蒼源は敵味方共に中華十弓の一人だと認められたのである。それから麃公も蒼源を抜擢し、弓魏兵だけで構成された特殊部隊を作らせた。それが凄まじく強く、当時は蒼弓隊の名を聞くだけで敵が震え上がったほどであった。だが、ある戦場で窮地に陥った隊を救いに行った蒼弓隊は敵の大いなる伏兵に遭い敗れ、そこで蒼源も命を落としたのである。岳雷はそこで救われた隊におり、仁と淡にすまないと言い、頭を深く下げる。仁と淡は岳雷に頭を上げるようお願いし、良い話を聞かせてもらったと喜ぶ。そして、ますます戦場に行きたくなったと決意を新たにする。我呂はそもそもなぜ飛信隊に入りたいと思ったのかと問うと仁はたまに町に下りて噂話をよく聞いていたと答える。それは飛信隊とその隊長は飛矢のように真っ直ぐだと。
仁と淡は体力試験には早々と落ちてしまったが、弓にかけて一生懸命戦いますと頭を下げる。信はどうするのか貂に聞くと貂は戦場に出るまでにしっかり体力をつけるようにと合格を言い渡す。
それは信と貂が仁と淡が放った矢は全て的に当たっていたのを確認したからでもあった。

体力試験は河了貂は二百人が通過できれば良いを目論んでいたが、全行程を三百五十人が達成したのであった。そして、羌瘣が受け持った会場と楚水が受け持った会場全て合わせて、身体能力に優れた新戦力一千人が選抜され、飛信隊に入隊したのである。

その全員の前で信は語りだす。あんな苦しい選抜をよく残った、大したもんだと。だが、きついのはこれからであり、練兵、調練でさらに血反吐を吐くことになるが、ここまできたら、絶対にやり遂げて一人前の兵士になりやがれ、なぜならお前らは全員もう大武功をめがけて走り続ける飛信隊なんだからよと言うと新兵の気合が一気に入った。





仁と淡のこれからの活躍が非常に楽しみですね。二人とも腕前としては中華十弓クラスであり、早く諸国に認められる存在になってほしいと思います。他にも根性のありそうな新兵が多く、これから飛信隊がさらに大きくなることを予感させますね。

第492話 成長への募兵

飛信隊の入隊試験では過酷な持久走や根性を試すための試練が行われていた。
その光景は飛信隊の古参隊員ですら、心配するほどであった。
そこに文句を言う輩が現れる。戦場は殺し合いであり、走り回るだけならガキでもできると隊員に詰め寄る。崇原は威勢がいいのが出てきたと前に出て、輩を相手に十人同時に相手にし、傷をつけられれば即入隊を認めると宣言する。輩が襲いかかろうとした瞬間、崇原は片手でその十人を倒した。輩は崇原は飛信隊の中でも屈指の剣使いであることを耳にしており、隊長は崇原よりも強いかと問うと崇原は自分が百人いても勝てないほど隊長は強いと言い聞かせる。
そして、田有は本気で飛信隊で一緒に戦いたいのならもう一度試験に挑めと叫ぶ。

側から見ていた我呂は選抜試験の厳しさに疑問を口にする。貂は本気で隊を進化させるなら土台となる兵の身体能力を高いものにしなくてはならないと考えていた。それは白兵戦では強いと思っていた飛信隊が慶舎隊の精鋭にズタズタにされたからであった。騎兵も歩兵も明らかに個人の力が劣っていたことの証明であった。戦術を前にこの問題を解決しなければさらなる大物と渡り合うのは不可能であると貂は考えていた。
しかし、我呂は試験がここまで厳しいと体力馬鹿しか残らないと指摘する。そこで貂は特殊技能がある者がいるかどうか落選組から探すつもりであると説明する。
信達が歩いていると落選組に少し前に会った弓矢の兄弟がいることを見つける。弓矢兄弟はまた信に会えたことに喜ぶが、落ちたことに気を沈めていた。それは弓の腕前だけで入れると考えていたからである。貂は弓の特殊能力であれば体力試験で落ちている分、弓実技で倍の距離から正確に的を当てられないとダメだと言うと、弓矢兄弟は走っている人の間を縫い、いとも容易く的を射抜く。その距離は倍ではなく、十倍はあったのであった。さらに弟も簡単に射抜く。信と貂はその腕前にただただ驚いていた。貂がその技術をどこで身につけたかと問うと山でと答える。誰に教わったかと聞かれると父であると返す。ただし、彼らの父は戦死していたのであった。弓矢兄弟は理由は麃公という頭のおかしな将軍の軍に入ってしまい、無茶な突撃命令ですぐ死んでしまったと残念がる。
我呂は自分も麃公軍だったと明かし、父親の名前を聞くと蒼源と返す。我呂はその名を聞き、驚く。蒼源は特殊弓騎兵団を作った人物であり、秦で唯一中華十弓に名を連ねた達人であった。





まずはブログのアップが遅れましたこと深くお詫び申し上げます。遅れた理由として完全なる失念でございます。2011年8月に始めたこのブログですが、失念したのは初めてでございます。自分でも驚くと共に今後二度と同じ過ちをしないよう心に誓います。

今週は中華十弓の子供が出てきて面白い展開になってきそうですね。弓隊を作りたいと思っていた飛信隊としては願ったりかなったりですね。将来白麗と弓矢対決とかしたら面白いでしょうね。
しかし、麃公さん、、、、さすがに本能型の極みの人に無茶な特攻をやらされたら誰も生きてはいないでしょうね、、そういう人達がいてこそ麃公の戦績があるのでしょうが、、、何とも考えさせられる回でした。

第491話 秦の障壁

李牧は政を睨みつけ、宮殿を立ち去ろうとする。しかし、昌平君は聞き捨てならない、秦が後悔するとはどういう意味かと李牧に問い質す。
李牧は昌平君に分からんのか、本気で秦が六国制覇に乗り出すというならばこの中華七国で最初に滅ぶ国こそ秦だと言っているのだと豪語する。秦にとって六国制覇とは持久力との戦いであり、中華の中心にある趙を早い段階で滅ぼす必要がある。しかし、李牧がいる限り秦は趙を討つことは叶わぬし、さらに秦軍を内地に誘い込み、徹底的に討ち殺す。趙としてはもはや相殺でも構わない、それは泥沼化すれば楚が北上して咸陽を攻め落とすからである。趙と楚でそのような密約があるわけではないが、媧燐がその好機を見逃すはずがないと断言する。
昌平君は李牧の目の前に立ち、そうなる前にお前を討つと言っているのだと睨みつける。しかし、李牧は誰が私を討つのですと聞き返す。桓騎ですか、蒙武ですか、騰、王翦ですか、笑わせる、そんな目で中華統一をなせると思っているのか秦軍総司令と見下した。さらに李牧は秦本営は秦の抱える将軍たちと李牧との力の差がどれ程開きがあるか分かっておらぬ、今いる秦将全員がまとめてかかってきてもこの李牧の相手ではない、それでもやるというのであればかかってくるがいい、趙は絶対に落ちぬ、この戦いで滅びるのは秦であると言い残し、堂々とその場を立ち去った。

李牧が立ち去ったあとの宮殿では幾ばくかの敗北感があった。臣の一人は李牧をいっそのこと殺して仕舞えばというが、そんなことをすれば秦が勝っても趙は統治できないところになると介億は言う。昌文君は易い挑発に乗るのではない、李牧は早速心理戦を始めたに過ぎないと諌める。介億は李牧の真意を推し量ろうとした時、政は中華統一を語るに王の顔を己の目で確認しに来たのであろうと推測した。

李牧は帰国後、趙の軍事強化に国庫を開きだした。秦もそれを追うように秦も国庫を開き各地の軍事強化に入った。

秦国太近では飛信隊の新兵募集が行われていた。三百人の募集に二千人が集まってきたほど大人気であった。




李牧と昌平君の舌戦は李牧に軍配が上がった感じがしますね。
心理戦の様相はあるにせよ、秦将全員を相手にしても李牧の敵ではないというのはすごい自信だと思います。でもそれをやってのけるのが李牧なので相当警戒が必要かと思います。
秦趙全面戦争は負けた方は本当に国が滅ぶ危険がありますね。趙は韓、魏と連携し、さらに楚を動かすことにより優位に進めていけるような気がするので、秦としては厳しい戦いになる可能性がありますね。