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第475話 動揺のその先

桓騎軍の眼前には中央の丘を制した趙軍の多数の旗が風になびいていた。桓騎は中央丘争奪戦を放棄したことにより、桓騎軍の陣内には動揺と怒りが漂っていた。

桓騎とリン玉は天幕の中に入る。そこには雷土、摩論、黒桜がおり、それぞれ怒りの表情を露わにしていた。摩論は桓騎に対して、今日の丘撤退がどうしても納得がいかなく、理由を教えて頂きたいと口を開く。雷土は桓騎のことは信じているが、丘取り合戦から方針が変わったのなら、説明してほしいと意見した。
桓騎は方針は変わってなく、この黒羊の勝敗は中央丘をどちらかがとるに決まっていると返す。それを聞き、雷土はだったらなぜ丘を明け渡したりしたのかと怒りを口にすると、桓騎は丘をとるためだと返す。その返答におちょくってるのかと怒るが、桓騎は長くやっているせいで、最近お前らの考えは軍に染まってきている、理由だの戦術だのどうでもいい、昔みたいにおれを信じろ、おれのやっていることはいつも完全勝利の結果に繋がっていると言うと雷土、摩論、黒桜の三人は自然と納得する。
桓騎は話を変え、飛信隊と那貴の現状を確認するが、紀彗騎兵の急襲から行方知らずであり、相当奥深くまで終われたか、死んだかと黒桜は返した。
桓騎はあっそとだけ言い、次は久々におれたちらしいやり方で存分にやる、弱者をいたぶると言う。今、この黒羊には趙軍でも秦軍でもない第三の人間がいやがると語る。

紀彗と金毛は丘の頂上に立ち、桓騎の動向を怪しんでいた。しかし、紀彗は黒羊はこの中央丘を手にした者が黒羊の勝者となることは間違いなく、夜を徹して丘を砦化することにより、明日以降絶対に丘へ登らせぬと強く決意する。明日一日桓騎軍の攻めを受け止め、砦化が進められれば、この中央丘は不落となり黒羊戦に勝利できると確信していた。

そして、黒羊戦五日目の朝は紀彗も金毛も全く予想しない景色から始まる。金毛、桓騎は黒羊の森の至る所から煙が上がっているのを目にする。
尾平は集落の焼け跡に辿り着く。しかし、桓騎軍の兵士は集落の焼け跡ではなく、趙軍の物資の隠し場所であり、そこを襲ったと言う。尾平はそれでも人気が全くないことを不審に思う。そこに宝石が落ちているのを桓騎兵が発見し、尾平に渡す。尾平は飛信隊では禁止されていると拒否するが、故郷の女に持って帰れ、黙っていればわからないという甘言に心を惑わされ、受け取る。

信は夜通し走って敵をまいて、元の場所に戻ると丘が趙軍に取られていることに驚きを隠せないでいた。
羌瘣は煙を上がっている方向を見て、焦りを感じた。




桓騎軍は羌瘣を助けたと思われる集落を襲い、人質作戦に出るのかと思われますね…
残虐非道であることは間違いないが、それも戦争なのかな…
羌瘣は集落を助けに行くところで桓騎兵との戦いがありそうですね

第474話 趙将の正念場

総大将慶舎と劉冬を失い、多大なる打撃を受けた趙軍。馬呈は劉冬の死を知り、泣き崩れ、怒りに震えていた。紀彗は馬呈の肩を掴み、ここが正念場で、その怒りを全て桓騎軍にぶつけろと言う。そして、丘の左半分を馬呈に任せる。紀彗は頂上で紀彗と話をつけてくるとその場を離れた。

金毛と紀彗は丘の頂上で向かい合う。
金毛は顔面蒼白しており、慶舎の死をまだ受け止められないでいた。しかし、こうなった以上被害を最小限にするために黒羊から撤退をしようと決断する。
しかし、紀彗は退却はせぬ、ここから立て直すのだと金毛に詰め寄る。金毛は総大将慶舎が討たれたのに何を言っているのだと反論するが、紀彗はまだ誰も気付いていない、慶舎は誰も見ていない丘の裏側で討たれ、討った飛信隊はその裏の樹海地を逃走中で桓騎軍内で広まることはない、混乱させぬよう趙軍内にも広めていないため、お互いが黙っていれば慶舎の死を隠したまま、紀彗と金毛で黒羊戦を続けられると説得する。
紀彗はさらに黒羊の難しさとなぜ秦軍がこの地を攻めてきた理由を語る。黒羊は城こそないが天然の要塞で、ここを秦に奪われ、軍の前線基地を築かれれば趙軍は奪還はおろか敵兵数すら把握ができない最悪の侵略要地と化すためであった。結果、趙は国境を大きく内に下げざるを得ず、そこにいた趙人は土地を追われ、皆難民となる、黒羊は慶舎と桓騎二人だけの戦いではないと力説する。
紀彗は兵数はまだ趙軍の方が多いため、このまま共に戦おうと言うと、金毛は長年忠義を尽くした慶舎はもう戻らぬが、我々は趙将としての大いなる責務があると言い、紀彗の策を受け入れた。

この黒羊戦で大局を掴むのは結局中央丘をどちらかが制圧することであり、戦を続けることは特に問題なかった。
紀彗は左半分を怒れる馬呈が黒桜の位置を補足しているため、必ず左をとると考えていた。問題は右であり、金毛と摩論の力は拮抗していたため、紀彗の隊が介入することにより、摩論軍に揺らぎを作り、摩論軍を打ち破ろうとした。
紀彗は何としてでも慶舎の死が聞き広がる前に中央丘を奪取しようとしたのだ。

桓騎軍本陣は麓から趙軍の急な力技により、異変を感じていた。リン玉は慶舎に何かあったのかと疑問を口にするが、桓騎はこの戦いの最大の獲物は慶舎ではないと言う。
桓騎はそこに砂鬼一家を呼んでいた。そして捕虜となった趙兵の拷問を始める。
そこから得た情報により、桓騎はこの戦の勝利を確信する。
そして、黒桜と摩論は全兵丘より撤退し、丘を趙軍に明け渡せと伝令を聞く。




これは間違いなく離眼城を攻めるんでしょうね…離眼城を制圧して、城民の命と引き替えに紀彗を降伏させるという流れになるかと思います。
心を鬼して、離眼の民を見捨てれば中央丘は趙軍が制圧しているので、この戦いは趙軍の勝ちになるのでしょうが、紀彗はそんなことできないでしょうね
しかし、桓騎はその約束を反故しようとしそうですね…そこに行方がわからなかった飛信隊が登場するという感じかな

しかし、黒羊丘がそんな天然の要塞になるのであれば、なんで李牧は秦が攻めてくる前に築いておかなかったんだろうか…?

第473話 歓喜の撤退

慶舎は信の渾身の一刀に崩れ落ちる。李牧に恩返ししきれなかったことを悔やみつつ、息をひきとる。
信は右手を空に突き上げ、慶舎の首を討ち取ったことを全力で叫ぶ。その咆哮に飛信隊は最高潮に喜び盛り上がる。
しかし、趙兵が迫り来る中、急いで退却する必要があった。

羌瘣は劉冬に緑穂を突き刺し、致命傷を与えていた。劉冬は地に倒れつつも羌瘣に離眼へは行かせぬと最期の力を振り絞り口にした。羌瘣は口約束だが、劉冬が恐れるようなことは離眼では起こさせないと誓い、劉冬に偶像を返す。劉冬はそれを受け取ると息を引き取る。
そこに趙兵が迫ってきて、羌瘣達を襲おうとする。羌瘣は退却しようとするも呼吸を戻さなければ動けなく、趙兵が来るまでに間に合いそうになかった。
しかし、そこに馬に乗った信が現れ、右手で羌瘣を抱え、颯爽と走り去ったのであった。

そこから慶舎軍によるすさまじい追撃が始まったが、樹海の視界の悪さは逃げる飛信隊に大きく味方した。

信が慶舎を討ち取ったのは正に電光石火の一撃であった。奇襲が起きた場所も丘の裏側であったため、慶舎討ち死にの事実に桓騎を始め、まだ誰も気づいてなかった。最初に伝わったのは趙軍右側の将金毛と左側の紀彗であった。紀彗は慶舎と劉冬討ち死にの事実を聞かされ、その場で叫び、泣き崩れた。
しかし、紀彗はまだこの戦争を終わらせないと決意し、すぐ金毛に頂上に来るよう伝令を走らせる。



紀彗が慶舎の後を継いで総大将になり、戦争は続きそうですね。
しかし、桓騎軍の圧倒的な優勢は変わらないだろうから、ここからどのような展開を図るのかは紀彗の手腕が問われるところとなりそうですね。