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第450話 野盗の意地

慶舎でも見落としていた絶体絶命の窮地における元野盗特有の知恵があった。雷土はゼノウに対し火兎と鳴らせと叫ぶ。ゼノウと雷土は笛を口にし、戦場に響き渡る大きな音を出した。
それを聞いた桓騎軍は脱兎の如く我先に逃げ去った。火兎の笛は彼らが野盗団であった頃から使われている代物であり、修羅場では何度も耳にした笛の音であった。その意味は絶体絶命、完全包囲てあり、もはや隊ごとの伝令、号令は不要、この音さえ聞けば野盗時代に戻り、逃げるだけであった。
その様が軍の退却の姿とはあまりにもかけ離れていたため、さすがの岳嬰も固まらずにはいられなかった。岳嬰は無様で無秩序であり、殿もないその姿は山猿であると嘲笑った。
火兎を桓騎とリン玉は遠くから聞いていた。リン玉は包囲が狭まる前の火兎であれば二隊が壊滅することはないと推測し、桓騎は趙には素人丸出しに逃げているかもしれないが、一番多く助かる方法であると話す。
野盗時代、山々にひそみ秦軍に追われながらも捕まらなかった桓騎兵は逃げのプロであり、そのプロ達の経験から最も生還率が高いと生み出された逃げ方が味方を気にせぬ個の、逃げ方である。集で追ってくる敵の的となればひとたまりもないが、その間、他の多くが逃げる時間となる。そして何より倒れた仲間をも踏みつけていくその走りは追撃してくる岳嬰兵が目を疑うほどの速さであった。そして、もう一つの利点としては殿がいなかったため、将がどこに逃げたのかわからないということであった。

夕暮れ時、雷土とゼノウは中央丘の麓で偶然落ち合った。そして、ゼノウは考えることは同じようだなとつぶやき、雷土はそれに同意する。
雷土とゼノウは建設中であった中央丘の趙軍を急襲し、焼き払ったのであった。雷土は元野盗団の桓騎軍はどんなに下手をうったとしても絶対に手ぶらでは帰らないと豪語する。
慶舎は燃え盛る趙軍をじっと見つめていた。



桓騎軍の秘策が全力で逃げることとは策で翻弄してきた軍としては単純な感じがしましたが、単純であるからこそ、現実的であり、最も効果があるのかもしれないと感じました。
物の見事に窮地を脱することができましたし、逆に趙軍を焼き払うことにも成功。これで雷土側の戦いは五分に戻ったのではないかと思います。
また桓騎自身はまだ動いていないので、そろそろ動き出してほしいと思います。
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