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第514話 愚策の極み

秦連合軍と同時期に趙へ侵攻していた燕軍。戦況を見つめるオルドは次々と燕兵をなぎ倒す司馬尚軍を視界に捉えていた。オルドは燕国境側に大虎が眠っているなら、先に言え李牧と毒づきながら、面白いと前に出ようとする。
しかし、そこに急報が入る。趙の東本軍が東に進み、燕領土に侵攻し、現在貍城を攻撃中というものであった。さらに急報が入り、貍城はすでに陥落し、趙軍はそのまま陽城に攻め込んだため、陽城から援軍要請が来ていた。趙は燕軍の退路を断つ気であった。
オルドはこの策は李牧が予め用意していた戦略であると断定する。しかし、その策は司馬尚軍五千でオルド本軍二万を食い止めるということが前提であり、気に食わぬと怒りを露わにする。オルドは自分の落ち度とし、陽と貍を奪還しに行くぞと号令をかけ、全軍退却する。
それを見た司馬尚は青歌に戻る。

乱城に到着した李牧は燕軍退却の報せを聞く。舜水樹はようやく秦軍だけに集中できると呟く。李牧は列尾を越えた秦軍はどこまで鄴に近づいたかと尋ねると乱城の文官は鳥達の報告では信じ難いことに秦軍は鄴に向かわずに途中の小城吾多に攻め入ったと報告する。
その言葉に李牧は衝撃を覚える。

信は時間がない状況下でわざわざ小さい城に寄り道して、普通に攻め落として何がしたいんだと焦っていた。中に入ると桓騎軍が民家の略奪をしていた。信はそれを見て、怒り阻止しようとするが、蒙恬は今回ばかりは桓騎軍の鼻が役に立っていると信を制する。摩論は城主の屋敷の地下、城外の地下に食糧庫を発見し、民家の隠し食含めて一粒残らず手に入れたと桓騎に報告する。桓騎はそれを王翦に言う。摩論は本当はしらみつぶしに探さなくても砂鬼の公開拷問をすれば一発なんだけど、王翦が民を傷つけた者は斬首に処すと厳命を出したため、大変であったと不満を口にする。

信は蒙恬から民を殺さずに食糧を奪っていることを蒙恬から聞く。河了貂は確かに兵糧の足しにはなるが、二十万いる軍からすれば微々たるものであり、吾多を落としに来たことで半日分の兵糧を使ったし、王都圏を守る趙軍にも同じく半日もの刻を与えてしまった、本当に兵糧を増やすために来たのであれば最低の愚策の極みだと吐き捨てる。
蒙恬は河了貂の意見に賛同するが、王翦がなぜ厳命まで出してこの都市の民を守ったのか疑問を感じていた。

吾多の民は広場に集められていた。王翦はその前に立ち、語り始める。怯えることはない、民間人であるお前達を傷つけることはこの軍の総大将王翦が一切許さぬ、だがこれは戦だ、心苦しいが我々はそなたらから食糧を奪うと共にこの城も取り上げねばならない、食糧のないそなたらには体力の尽きる前に何とかして隣の城まで移動してもらわねばならない、許せと話す。吾多の民は滅相も無い、命を助けてもらっただけでもありがたいと感謝する。王翦はならばすぐに発て、皆の道中の無事を祈ると言う。民はすぐに城外に出た。そこには解放された兵も混じっていた。
それを見た河了貂、蒙恬、王賁、桓騎は王翦の狙いは兵糧ではなく、外に出された民間人達だと理解するが、それが一体何なのかわからないでいた。
王翦は要領は得たか、次の城に行くぞと号令をかける。





王翦は衛星都市全てに同様のことをして、鄴の周りを大量の難民で溢れ返させ、受け入れざるを得ない状況にするのか。そこに兵を紛れ込ませて受け入れと同時に侵入し、中から門を開けるという作戦になるのか。
しかし、鄴が民間人の受入を拒絶したらこの策は敢え無く失敗に終わると思います。鄴に李牧がいなくとも鳥を飛ばして、絶対に民間人を受け入れるなという指示を出せばそれで終わりかと。
ここで、ポイントとなるのは王翦の民への対応になると思います。鄴に辿り着いた民間人達は鄴の門が開かないことに怒りを覚えることでしょう。「敵の王翦は寛大な対応をしてくれたのに味方に見捨てられる」と非難し、罵倒を浴びせ、下手をすれば門をこじ開けようとしたり、王翦軍が裏から手を回し、ハシゴで壁を登らせようともするかもしれないですね。さすがに自国の民間人は斬り捨てることはできなく、雪崩のように鄴入り込み、いつの間か秦軍の侵入を許してしまうということになるかと…
しかし、李牧なら自国の民間人を斬り捨てても、鄴に受け入れるなと厳命しそうだが…まだまだ王翦の策には続きがありそうですね

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総大将・王翦

各小・中規模の城を陥落させ、そこに居る民達も順次解放するとは一体・・・直感的に浮かんだのが、そうして解放させた大勢の民達を〝餌〟として鄴を守備する精鋭兵(つまりは鄴守備兵の家族を餌にする)の戦意を喪失させ、鉄壁を誇る鄴を無血開城させるつもりでは?と思うのだが…やはりこればかりは自信が無い。

東部戦線は李牧の見立て通りの結果だった。しかし気になるのが、その結果を活かして趙泊・司馬尚が合力してでもオルドを討ち取れなかったのだろうかという事。でも李牧の言葉を振り返ると「司馬尚は青歌を侵されない限り動かない」という事はやはりそれ以上の行動も取らないのだろう。実力は折り紙付きなのに惜しい気もする。四倍の敵を相手に燕側が押されているなら尚更に。
by 総大将・王翦 (2017-04-20 10:45) 

ちょう

司馬尚は、恐らく、趙三大天に入ると思います。
by ちょう (2017-04-20 15:25) 

総大将・王翦

ちょうさんのおっしゃる通り私も司馬尚は後々、三大天の最後の一席を掴むと思います。

あれ程の実力者なら、李牧も自ら頭を下げてまで懇願する価値は十分あると思いますので。
by 総大将・王翦 (2017-04-20 15:49) 

渇殺し

いつも拝見さしていただいてます

王翦の策なんですけど
考えられてるような民に兵を紛れ込ませてじゃなくて鄴に食料なしの民を送るのが目的だと思いますよ
それによって城内に入れなくても鄴に備蓄されてる兵糧の消耗を早くすることができるので
豊臣秀吉も鳥取で同じことして堅城を落城させてますし
by 渇殺し (2017-04-20 21:11) 

渇殺し

追加で仮に鄴滞在軍が見殺しにして食料を渡さなかった場合一帯すべての住民を虐殺したのは趙になり仮に今回の遠征で失敗したとしても民心は趙から離れ次回以降攻めやすくなると思います
by 渇殺し (2017-04-20 21:16) 

しゅうしゅう

前回、「支城の住民や兵士をどんどん業に追い込んで、業を兵糧攻めする気なのだろうか?」と書いたけど、なんとなく今のところそんな感じですね。

あとは、李牧がその程度の策をどこで気が付き、それを防ぐために、いつ、秦軍に襲い掛かってくるのか。

支城の数は結構多いので、一つの支城を落とすのに1日かかるなら、李牧軍との衝突はその途中となるのでしょうか。

支城をそこそこ落とす→途中で李牧軍と遭遇して本格的な戦となる→その分、業の食料が減る→食料が手薄になった業を攻める。

でも、秦軍の兵糧も補給線が確保されてない以上盤石ではないので、長期戦はとりずらいんですけどね。

なお、秀吉が鳥取城を兵糧攻めしたときは4ヶ月くらいかかっていますよ。
by しゅうしゅう (2017-04-20 23:54) 

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まず李牧の性格からして、例え罠だと分かっていても自国の民は見捨てられない。
見捨てたりしたら士気にも関わってきそうですしね。
…で、鄴に難民が雪崩れ込む事になる。
難民に紛れての潜入が妥当かと思われます。
兵糧攻めはあり得ない。
そもそも兵糧が厳しいのは、敵中で孤立している秦側ですから。
鄴の兵糧は、包囲されて孤立させられない限り、何とでもなるでしょう。
敵地のど真ん中で敵の城…鄴を孤立させられると思いますか?
by お名前(必須) (2017-04-21 00:31) 

先読みのシャア

この王翦の作戦は、ブログ主様が指摘された通りだと思います。趙の住民を難民化させて、鄴の周辺を大混乱に陥いらせるのが目的でしょうね。鄴の城は当然城門を解放しないでしょう。難民化した住民は飢えているから何としてでも城内に入ろうとするから、軍並みに、攻めるのでは無いでしょうか?
李牧らの救援部隊も詰め寄られ、秦軍との戦いどころでは無くなる。こういった、パニック作戦でしょう。ここで、ポイントは鄴を落とした後もこの住民らは、趙を恨み続けるので、秦国にとって都合が良い状況になるかと思います。そこまで先を見透しての事だとやっぱり王翦は化け物かと。それにしても、桓騎は存在するだけで、プレッシャーを与えている。もう大将軍の域ですね。(笑)
by 先読みのシャア (2017-04-21 06:51) 

もしゃ

趙の住民を難民化させて・・・という意見が多いですが、一方で時間が余りかけられないのが引っかかるところ。短期で鄴を落とすにはどうするか・・・。

狙うは趙王・・・でしょうか。
難民が当然首都にもいく。彼ら難民がいう。各所が落とされているが、趙軍は誰も守ってくれない。駆けつけてもくれない。何をやっているんだ・・・と。おそらく李牧への風当たりが強くなるでしょう。そうなれば趙軍は早々にも戦わざるを得ない。そして首都の軍を動かしてダメとなれば、李牧に与えられる、動かせる軍は限られる・・・。

リスクを承知で鄴にいる軍も出撃させ、早期に野戦を挑まざるを得ない状況下にされてしまうのではないでしょうか?もっと酷いことになれば李牧は首都を離れることを禁じられてしまうかもしれません。王翦は諜報も徹底していそうですし、どうなのかな・・・と思いました。
by もしゃ (2017-04-21 17:36) 

モブ

鄴を守っている兵士は周辺都市からの派遣されている場合、鄴に集まる難民となった家族を何とか助けて城内に入れようと内乱が起こり、開城しようとする兵士が出てきそう。
また王翦の部下がすでに城内に入りスパイとして煽動するのかも。
王翦は盤上や一般戦場の戦いでは李牧には勝てなくても、情報戦や心理戦を含めた作戦の幅では李牧を圧倒しているのかも。
by モブ (2017-04-21 21:31) 

昆虫記

シリア問題等の時事問題を着想として取り込むのも悪くないんじゃないでしょうか。
by 昆虫記 (2017-04-21 23:12) 

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王翦「トマホーク(民衆)発射」
by お名前(必須) (2017-04-21 23:54) 

N村

 ローマ史では、ユリウス・カエサルが、今回の秦と同じように敵のガリア(今のおおむねフランスあたり)のまっただ中で孤立しつつ、アレシアを包囲して攻略に成功してます。
 
 その策は、アレシアという城(鄴のような城塞都市)を包囲するための壁と、さらにその外側に自分達を守るための壁というように、壁を二重に構築して、アレシアに籠城する敵兵の目の前で、その援軍をたたきのめして、包囲されつつのアレシア攻略を成功させています。
 
 はたして、王せんが如何にこの難関を越えるのか、注視したいと思います。ここで李牧に先んずることができれば、カリンにも呉鳳明にも勝てるでしょう。
by N村 (2017-04-22 00:18) 

ナニユエ

王せん将軍 先の先まで読んだ上で 裏をかくひと系みたいなので黄河を使って兵糧とかはないでしょうか 
by ナニユエ (2017-04-22 13:16) 

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難民の中に鄴を守っている兵士の家族がいるかもというのはあり得ますね。
秦兵を潜り込ませなくても勝手に内側から崩れて行きそう。
by お名前(必須) (2017-04-22 15:56) 

ポンコツ

食糧を求めて大移動するイナゴ作戦ですね
by ポンコツ (2017-04-22 23:30) 

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王翦に一歩遅れを取ってしまった李牧。反撃できるのか…。李牧は優秀なんだけど視野の広さが英雄たちと違うかな。政との会見でも思ったけど。
by お名前(必須) (2017-04-23 11:38) 

モブ

李牧は政との謁見でも、外国の王に対し自国を攻めないよう諭すような発言をして、それを否定されると突然切れたように発言し、プリプリ怒りながら自国へ戻る。
現代社会なら軍事担当大臣が敵国の大統領との外交交渉の席でキレてしまう大失態でしょ。
しかも、第三国のヘビ王が敵国の寿命が尽きそうな外務大臣の頼みだからと命を張って作った交渉の場をぶち壊した状況に。
はっきりいってダメでしょ。
今のアメリカのような超軍事大国の秦と何とか自国に有利な状況にするため、戦争を回避するために国から派遣されたのに。
【日出処天子至書日没処天子無恙云々】と小野妹子に書簡を持たせ、わざと隋の皇帝を怒らせる様な事をするかなり高等な外交交渉をした聖徳太子とは器が違いすぎますね。
by モブ (2017-04-23 19:20) 

かずお

愚策の本意は何処に?大量の民をギョウに向わせて、ギョウの街はどう対処するのか王翦将軍の読みを推察…えぇ間違ってますよ今回も私は。

ギョウの街を兵糧攻め…コレは考えにくい。寧ろ兵糧攻めされるのは秦側であり、持久戦になってはならない。ならば難民を向わせたのはギョウの街を完璧に封鎖する為かな?と。視察の段階で攻めるのは難しいと思わせる難易度ならば、民を集めさせ門を開かせない為かな?と。スパイなどが紛れ込み内側から攻められれば被害が拡大すると。ならば門を開かず全ての外部を跳ね除けるギョウの街。秦側は長期戦出来ないから耐えれば良いだけ。

王翦将軍はギョウの街を封鎖する事により背後の心配を無くして邯鄲に集中するのかな?と。なぜなら誰も邯鄲を攻めるとは思ってないから。

安直な発想っす。
by かずお (2017-04-24 07:52) 

王騎軍

難民が平地に溢れかえれば、リボクの進軍の足を遅らせる事もできますね。リボクも自国の民を馬で蹴散らして進軍する訳にはいかないですから。
by 王騎軍 (2017-04-24 22:37) 

K

王翦は難民が鄴についたら開門せざるを得ないと読んでいるのでしょうね。
たぶん、難民には兵士もまぎれていて、開門しない場合は鄴の兵士に「ひどい」「鬼畜」とか罵詈雑言あびせて難民をあおり、開門せざるを得ない状況へ持ち込む手はずもしていると思います。
開門したら難民に紛れて精鋭部隊が中に入って鄴を鎮圧。
「絶対攻め落とせない城」だから秦のものになればこっちのものというわけですね。
仮に鄴が開門しなくてもそれはそれ、民の心は趙でなく、王翦になびくので、これまで攻めた城の統治もしやすく、他の趙の城を攻める時に有利に働くでしょう。王翦は民を殺さないと分かれば、戦わずして降伏する城も出てくることでしょう。
いずれにせよ負けない状況なんでしょうね。
by K (2017-04-24 23:26) 

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